ミニマムアクセス米変化する「害悪」
国産米の需要奪うミニマムアクセス米今年も、田植え期の低温、梅雨期の豪雨災害、台風被害、日照不足など、天候不順のなかでの米づくりでした。昨年の今頃は、米が不足するという観測が広がり商社や大手業者が先頭に米争奪戦が展開されはじめた時期でした。 そして、2017年度のSBS(売買同時入札)輸入米は10万トン全量が落札。国内産米価格が上昇し「安い米」を求めている実需者が外米にシフトをしているとの報道もされました。 また、2017年度の米菓やみそ・焼酎などの原料として販売されたミニマムアクセス米も、前年比1・5倍の15万トンでした。 「安い」国内産米に不足感がでると輸入米の流通量が増加し、国産米の需要が奪われ、翌年に過剰在庫となり、国内産米の価格下落につながります。
「米価上昇で外米へシフト」のウソ2018年産米に不足感はあまりなく、JA概算金も前年産のスタート時対比2〜300円程度の引き上げ、相対基準価格も据え置きの産地が多いようです。2017年産米の在庫も抱えている業者は、新米の手当てを急いでいないため、昨年とは異なり、市場取引も活発に動いているわけではありません。 米価下落の見通しがぬぐえない状態です。 そんな中、9月26日に、今年最初のSBS輸入米入札が行われる予定ですが、応札は少ない見通しです。理由は、SBS輸入米の在庫が約4万トン以上もあるとみられているからです。 外国産米は文字通り、国内産米の需要を奪い、価格引き下げにつながるとともに、今年のような「過剰感」のある状況では、入札不調となっても国内産米の価格の足を引っ張る効果がうまれます。
米屋さんの苦労も奪う米価下落今年の米価が下がることになれば、生産者はもとより、米屋さんにとっても打撃です。3年連続の米価上昇で、実需者に粘り強く交渉をして、やっと引き上げが認められた納入価格が認められない、また、今年は辛抱して、新米から引き上げが認められるはずだった契約が通らないなどの事態が起こりえます。 価格の乱高下は生産者、米屋さんともに体力を奪います。
SBS米、増えても、減っても国産米に悪影響基本指針では外国産米を国内産米の需給には無関係として扱っていますが、需要としても情報としても、現実に大きな影響を与えています。このようなペテンをいつまでも許すわけにはいきません。 「義務」だとして外国産米を輸入し続け、国内産米を輸出して生産者の収入増加をめざす、という詐欺まがいの政策に、生産者を引きずり込む安倍官邸農政を転換し、戸別所得補償復活をはじめとした経営安定をめざした政策が求められます。
(新聞「農民」2018.9.24付)
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[2018年9月]
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