「農民」記事データベース20180917-1327-07

青年農家と酒造りが地域を醸す

―埼玉で青年部 夏の学習交流会―

 農民連青年部の夏の学習交流会が8月28、29の両日、埼玉県吉見町と加須市で行われました。
 今年のテーマは「加須の米―若い農家と酒造りが地域を醸す」です。約30人が加須市の取り組みを通じ、地域活性化策を考えました。


 加須市の青年農家のグループ「ヤング農マンkazo」から取り組みを報告してくれたのは中森剛志さん(29)と角田大輔さん(32)の2人です。

 中森さんは東京都出身で60ヘクタール以上の農地で稲作を中心に耕作しています。青果流通業者に勤めたのち「食料自給率が38%と低いなかで、今一番必要なのは農業をする人ではないか」との思いから加須市で新規就農した経緯を語りました。

 実家が兼業農家だった角田さんは、当初農業を継ぐ気はありませんでした。しかし研修先の早川農場で新規就農者の人たちと出会い、早川さんも「父親が楽しそうにやっていたから継ぐことに抵抗はなかった」という話を聞き、「子どもたちに『農家をやりたい』と思ってもらえるようにしたい」と決意。ヤング農マンとしてのイベント出展での仮装や、小学生への田植え体験などで、少しでも農家・農業へ興味を持ってもらうための取り組みを紹介しました。

 埼玉県農民連の松本慎一副会長は、酒蔵の交流会で「県内産の酒米を使っているものはほとんどないことが分かった」ことをきっかけに酒米作りを提案。篠塚敏夫さんなど協力する生産者と市長や商工会、大手に押されている酒の小売商組合も巻き込み、地元の酒蔵も現在は6蔵が協力。地酒「加須の舞」の生産が地域ぐるみの取り組みになったことを紹介しました。

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酒蔵では試飲も楽しみました

 3人の報告を受けて、参加者はグループに分かれてメンバーの地域の地域おこしのアイデアを相談しました。特産のトマトジュースの販売をテーマに議論するグループや、農業だけではなく林業や漁業もまとめて活性化させようというアイデアを出す班など、初めて顔を合わせるメンバーも多い中、活発に話し合いが行われました。

 2日目は加須市に移動し現地視察を行いました。酒米生産者の小山欽次さん(64)のほ場をまずは見学しました。小山さんは、山田錦を栽培して2年目ですが、今年はあえて6月末に田植えして今のところ順調に進んでいるといいます。うまくいけば休耕している田んぼにも広げる予定です。

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山田錦のほ場を見学

 ほ場の後は「加須の舞」を醸造する地元の酒蔵「釜屋」を訪問し見学。1748年創業の釜屋さんの歴史をうかがいながら、蔵の中などを見学し試飲に舌鼓を打ちました。

 参加者からは「聞いたことがない話を聞き、知らなかったことも学び、モノづくりの面白さを学んだ2日間でした」(青森・三浦行さん)、「加須市の農家は若手が中心になって非常にエネルギッシュに活動していました。日々の農作業やイベント開催など、みんながとても楽しそうに行っていたことが印象的でした」(兵庫・近藤大樹さん)などの感想が寄せられました。

(新聞「農民」2018.9.17付)
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2018年9月

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