米屋と生産者が手をつなぎ
地域と生産を守る役割を
米屋さんと生産者をつなぐ交流会(東京会場)
農民連ふるさとネットワークは9月2日、東京・文京区民センターで「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」を開き、生産者、米屋・米卸業者ら約120人が参加しました。
業務用からこだわり米まで
米屋さんから多様な要望が
ふるさとネットの根本敬代表が開会あいさつ。農民と米屋の社会的役割と責任について述べ、「米屋は、地域で生活インフラの役割を果たし、生産者は、国連家族農業の10年を背景に、化学肥料に頼らないアグロエコロジーを実践し、地域と文化を守る新しい役割が求められている。この役割を私たちが次世代につなぐ責任がある」と呼びかけました。
日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事が「米業界・流通も大きく変化し、お互いの取引を研究しなければならない時代がきた。生産者と米屋が親戚関係を築く必要がある」と来賓あいさつを行いました。
株式会社ナンブの野坂忠良部長が「産地と消費地とのパイプを広げ、安全・安心なお米を集荷し、さらに販売を拡大してほしい。われわれも協力します」と語りました。
ふるさとネットの湯川喜朗事務局長が米情勢と農民連の取り組み方針を報告。「農民連は『つくることはたたかいだ』とものづくりに励み、安全なものを求める消費者とつながって準産直米に取り組んできた」と振り返りました。
さらに、政府による市場任せの米政策への転換によって、生産者も流通業界もその波にのみこまれている現状を語り、「こんなときこそ、農民連は、米づくりを通した仲間づくりを全国で展開するとともに、生産者を支えることで価格の安定につながる戸別所得補償制度の復活を求めていきたい」と訴えました。
小島米店(川崎市)の小島晃さんは、米屋から米を買う消費者が減り、米屋が減少している現状を指摘。農民連に対して、「多収で高品質の米をつくってほしい」と期待を述べ、「米屋はこだわりの米を販売したい。そのためにも農民連と手を結んで米の大切さを伝えるイベントや試食会を開きたい」と語りました。
産地からは、東北・北海道ネットワーク、関東ネットワーク、北陸ネットワーク、福岡県の若宮農民組合が今年産の作柄状況などについて報告しました。
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産地からの報告に熱心に耳を傾ける参加者 |
農家の思いを聞けてよかった
交流・意見交換会では、生産者と米屋さんがテーブルを囲み、熱心にメモをとりながら語り合う姿があちらこちらでみられました。
試食をはじめ、防災・保存食、被災地支援野菜・加工品のコーナーでも対話が弾んでいました。
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試食コーナーでも対話が弾みました |
農民連の吉川利明事務局長が閉会あいさつ。「国連家族農業の10年が始まるが、稲作農家の圧倒的多数は家族農業。米農家は米屋同様、地域社会の担い手になっている。米屋と生産者が手を携え、食料自給率向上、米を守れ、農業を守れの国民的大運動を起こそう」と訴えました。
神奈川県鎌倉市の笹屋米店、木村聡さんは、「産地の状況や米の出来具合、農家の思っていることを聞けてよかったです。特に東北の生産者はがんばっているなと思いました。生産者は、生産現場の困難さをもっと主張した方がいいと思います。こだわりの米をつくっている生産者ともっと交流したかったです」と感想を述べていました。
訂正 2018年9月3日付(1325号)1面「金足農業高校が準優勝」の記事で、秋田県農民連・鈴木万喜夫委員長のコメントに「雑草集団」とあるのを「雑草軍団」に訂正します。
(新聞「農民」2018.9.17付)
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