農家の税金対策
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青色申告について
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青色申告特別控除
不動産所得または事業所得を青色で申告している人で、現金主義を選択していない人が、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限内に申告する場合には、最高65万円を控除できます。不動産所得から先に控除します。不動産所得の金額または事業所得の黒字額の合計が65万円より少ない場合には、その合計額が限度です。
ただし、2020年分以後は、65万円控除を適用するためには、パソコンソフトを使って記帳・保存するか、e―Taxで期限内に申告するかしないと65万円の控除は受けられず、控除額が55万円に引き下げられてしまいます。
65万円または55万円の控除が適用されない青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除できます。不動産所得金額、事業所得金額、山林所得金額の順で、合計10万円になるまで控除します。黒字額の合計が10万円より少ない場合には、その合計額が限度です。
現金主義の選択
青色申告者で、その年の前々年分の不動産所得と事業所得の金額(専従者給与または専従者控除を適用する前の金額)の合計額が300万円以下の人は、適用年分の年の3月15日までに、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出することで、現金主義で記帳することができます。現金主義とは、現金や預金の金額が動いた日で計算する方法です。
現金主義を選択しない限り、収穫・出荷や納品・請求などの事実が発生した日で計算する発生主義で計算することになります。
現金主義用の決算書の書式があります。棚卸がなく、勘定科目が少ないのが特徴です。
青色申告の要件
青色申告をするためには、一定の帳簿をつけて保存することが必要です。国税庁タックスアンサーは、「青色申告の記帳は、…現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよい」としています。
農民連の記帳簿をきちんとつけていれば、青色申告はどこでも認められています。白色申告者も、帳簿を保存(帳簿は7年、領収書等は5年)しておくことが必要です。
青色申告の承認の取消し
帳簿の保存がない場合や、帳簿に隠ぺいまたは仮装があった場合、記帳全体の真実性を疑う相当な理由があるときなどは、青色申告の承認が取り消されることがあります。正しく記帳・計算することが大切です。
(新聞「農民」2018.9.10付)
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