「農民」記事データベース20180827-1324-03

日米貿易協議

亡国・売国と破滅の
政治を許さない

「全面対立回避」の真相は?


「トランプ・ファースト」と
「アベ・ファースト」の癒着

 8月9、10日にワシントンで開かれた日米貿易協議の初会合。表向きは「全面対立回避、9月に持ち越し」と報道されていますが、果たして真相は?

 アメリカ通商代表部(USTR)は「2国間のあらゆる貿易問題について徹底的に意見交換をした。9月の追加の協議に向け前進するつもりだ」との声明を出しました。

 これに対し茂木敏充経済財政・再生相は、協議内容の公表を一切拒否したうえで、「立場の相違を埋め、日米貿易を促進させる方策を見いだしていく基本的な方向で一致した」「今回の協議に米側が不満を持っているとは思っていない」と述べました。

 茂木氏は「FTA(自由貿易協定)という言葉は出なかった」とも言い訳しましたが、ライトハイザーUSTR代表は2国間貿易交渉を要求しました。これは、まぎれもなく日米FTAです。

 日米間の貿易問題について徹底的に意見交換

 「2国間のあらゆる貿易問題について徹底的に意見交換をした」というUSTR声明と、「米側に不満はないはず」という茂木言明が示すように、9月の再協議と日米首脳会談に向けて、相当踏み込んだ交渉が行われた危険性があります。

 アメリカ側は、日EU経済連携協定(EPA)を挙げて「日本はTPP(環太平洋連携協定)以上に譲っている」「ずるい」などと不満を示し、「日本がTPP参加国に約束した以上の譲歩を勝ち取ろうとの野心」をあらわにしたといいます(朝日)。

 また、「米国だけの利益を追求する『アメリカ・オンリー』」政策(カンター元USTR代表)の象徴である自動車関税引き上げについては、「日本車は安全保障上の脅威に当たらない」と及び腰で注文を付けた茂木氏に対し、ライトハイザー氏は「トランプ大統領は真剣に検討している」と述べ、引き上げを強行する姿勢を見せました。

 11月大型選挙に勝つため「そろそろ日本からも“成果”を…」

 世界中に貿易戦争をしかけ、11月の大型選挙(中間選挙)に勝って大統領再選を確実にするために“そろそろ日本からも成果を勝ち取りたい”ともくろんでいる「トランプ・ファースト」政権。(1)自ら仕掛けた貿易戦争によって輸出も価格も落ち込んでいる豚肉や牛肉、大豆などの対日輸出拡大、(2)自動車関税引き上げをテコに日本の自動車メーカーの対米進出をさらに促すとともに、“売れないアメ車”の押し売り、(3)ミサイル迎撃装置や軍用機の購入拡大などが迫られる危険が強いといわなければなりません。

 (3)について、茂木氏はわざわざ「一般的な貿易のルール分野ではないことも含めて議論することはありうる」と付け加えており、軍拡の密約さえ疑われます。

 一方、災害対策をそっちのけにし、総裁3選にウツツを抜かしている安倍首相。こういう「アベ・ファースト」政権のもとで、国内の動向もキナ臭さを増しています。

 「政府内には、農産品の関税の引き下げ水準をTPPと同じにできるなら『対米FTA交渉を容認してもよい』との声がある」 (毎日)、 「政権幹部は『北朝鮮問題を考えても、通商交渉で米との関係が緊張するのは好ましくない』と話す」(朝日)。

 「トランプ・ファースト」と「アベ・ファースト」の癒着による亡国・売国と破滅の政治を許すわけにはいきません。

(新聞「農民」2018.8.27付)
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2018年8月

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