「農民」記事データベース20180813-1323-06

レタス生産に特化して

創業3年目のビニールハウス3反
奈良
農業生産法人・株式会社・和創
乃一隆治さん

 「農業にはまった。生まれてこのかた一次産業に携わったことがなかった。責任の重みを痛感、直接胸に響くお客さんの声がうれしかった。僕らは誰でもができる農業を目指したい」――奈良市中町にあるレタス生産に特化した「株式会社・和創(わそう)」代表、乃一(のいち)隆治さん(41)を訪問しました。他の花き農家やイチゴ農家などのハウスも立ち並ぶ中に、今年で創業3年目を迎える和創さんのビニールハウス3反があります。


 前職の電気工事資格を生かして

 約3反全てのビニールハウスでレタスの播種(はしゅ)から栽培出荷までのリレー栽培を、年間出荷を切らすことなく行っています。

 前職は電気関連会社の工事部責任者だった乃一さん。第二種電気工事士の資格を生かして、液肥、水の自動潅水(かんすい)装置や換気等ハウスの電気設備全般をご自身で整えます。

 高設のベンチには、イチゴの高設栽培のものと似ていますが、実は1ベンチあたり1トンの荷重にも耐えられるよう資材メーカーと相談し、カスタマイズしたもの。他にもハウス外にはU字排水溝の設置や、ハウス入り口には集荷しやすいように軽トラックがそのままバックで入れる仕様など。施設、機械機器、栽培道具等のハード面全体に誰もが農業しやすく工夫されています。

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レタス栽培のハウスで乃一さん

 ソフト面でもハウス周辺の農家との関係を築くために、農業生産者の会が主催の週2回の朝市の当番を担当。70歳が若手という高齢の町農家が苦手としていた会計をすすんで引き受け、地道に地域に溶け込む努力をしてきました。地域の方の農家のお名前は姓だけでなく下のお名前までバッチリ覚えています。

 ハウス周辺には、近くを散歩する人が腰掛けられるようベンチを設置していたり、ふらっと農場に来てもレタスが購入できたり、ピザ釜やバーベキューもできる広場や子どもの遊ぶ道具などを設置したり。これは常に「和創」の敷地に誰かがいてくれたら、事業者が留守でも誰が来たか教えてくれるから、という乃一さんの思いからです。

 誰もできる農業 みんなで一緒に

 乃一さんご自身の農業歴が浅い中で、誰もができる農業を従業員みんなで一緒にやっていくために努力し続けているのが、現在のレタスのリレー栽培です。消費者の需要が季節を問わず安定的にあるレタスを、年間出荷できるスタイルを構築してきました。できる限り安全面にも配慮し、減農薬栽培を行っています。アブラムシ対象の使用薬剤以外は使わず他の害虫が発生した場合は、夜な夜な懐中電灯で捕殺しています。

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土づくりも工夫

 今の社会で「農」に対して求められる様々な要求に対して変化をいとわない和創さん。最近では、初めてレタスの包装紙に「和創」の名前を印字した袋を使用し始めました。筋骨隆々の日焼けしたたくましい身体とはギャップのある少年のような笑顔の乃一さん。

 前職から今まで積み上げている知識と技術は、高齢者から障害をもつ方までみんなが「農」に携って生きていけるよう日々考え実行しています。

(奈良県農民連北和センター 井上和恵)

(新聞「農民」2018.8.13付)
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2018年8月

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