日米新貿易協議はじまる
日米FTA要求
アメリカが公言
日米両政府は8月9日にワシントンで、新たな貿易協議の初会合を開きます。11月の中間選挙前に点数を稼ぎたいトランプ政権は、自動車関税の引き上げを圧力材料に、日米FTA(自由貿易協定)の交渉入りを求める意図を公言しています。
新たな貿易協議開始は4月の日米首脳会談で合意したもので、出席するのは日米FTA交渉が始まれば交渉責任者になるライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表と茂木経済再生相。
ライトハイザー氏は、就任にあたって「農産物は、日本が第一の標的」「TPP(環太平洋連携協定)交渉を上回る合意を目指す」と公言してきた人物。
つい先日、7月26日には上院公聴会で、牛肉を例に挙げて「米国は日本に対して貿易赤字を抱えている。日本には多くの不公正な貿易障壁がある」と述べ、「日米FTA交渉をしなければならない。われわれはかなり攻撃的な議題を設定している」と“宣戦布告”しました。
「次は日本だ」と勢いづくアメリカ
これに対し茂木経済再生相は「(日米間の)相違をしっかりと埋めていくことが重要だ。交渉内容は会談の中で決まっていく」と述べるだけ。これでは、アメリカ側の意に沿うように「相違」を埋め、「攻撃的な」姿勢に屈伏して日米FTA交渉に応じると言っているようなものです。
トランプ政権は、鉄鋼・アルミに続いて自動車の報復関税の引き上げを脅迫材料に、世界中に貿易戦争をしかけています。7月25日にはEU首脳がトランプ詣でをし、アメリカ産大豆と天然ガスの輸入拡大を「一方的に」誓約しました。
トランプ大統領は「相手が次々に交渉にやってくる。関税(引き上げ)は最高だ!」とツイートし、ロス商務長官は「自動車関税で脅迫しなかったら、こんな結果にならなかっただろう。トランプ氏の通商政策がうまくいき始めている証拠だ」と脅迫の成果を誇っています。
日本に比べてウルサ型のEUを手なずけた実績にトランプ政権が悪乗りし、「次は日本だ」と勢いづいているのは確実です。
「TPP以上」を引きずり込む
このままでは「TPP以上」「貿易赤字解消最優先」の日米FTAに引きずり込まれるとともに、「前払い金」として軍用機やミサイル迎撃装置などの購入、BSE・食の安全基準緩和などが強要される最悪の事態になりかねません。
日米FTAに最大限に警戒するとともに、日欧EPA(経済連携協定)の批准阻止、TPP11の発効阻止・離脱を要求するたたかいを、新自由主義路線に反対する運動と結びつけ、抜本的な政策転換に発展させるときです。
(新聞「農民」2018.8.13付)
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