TPP11、米、種子法廃止、
家族農業10年で
国民大運動実行委員会 農水省と交渉
国民大運動実行委員会は7月20日、農水省に、「2019年度予算編成にあたっての申し入れ」を行うとともに、農政の各課題について交渉しました。
豪雨被害での万全の対策を
冒頭、農民連の笹渡義夫会長があいさつ。西日本の豪雨被害で、愛媛県を視察したことを報告し、「離農者が出ないように万全の対策を」と求めました。さらに「TPP(環太平洋連携協定)11の批准や日欧EPA(経済連携協定)の署名で農家は不安を抱えている」とし、自由貿易交渉を中心とした農政の見直しを要求しました。
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あいさつする笹渡会長 |
TPP11は6条で、「アメリカが復帰せず元のTPPの発効の見込みがない場合、いずれかの国の要請があれば、見直しのための協議をする」と定めています。日本政府はこの規定を活用し低関税輸入枠やセーフガード(緊急輸入制限措置)を見直す方針を示していますが、各国が応じる保証はありません。
農水省は、見直しの裏付けとなる合意文書の存在について明らかにせず、交渉の経緯についても「話せない」の一点張り。参加者は、「今後、アメリカとの2国間FTA交渉もあり、農家の不安は消えていない。TPPは他の通商交渉とは異質で将来に禍根を残す協定だ」と批判しました。
米価格と需給の安定に国が責任を
米問題では、過去3年間で40万トンの米消費量減少をどう分析しているかとの問いに「分析したものはないが、価格上昇により中・外食で使用が減っているのでないか」と回答しました。
価格と需給の安定に国が責任を持つように求めたことには「中・外食業界が求めている『業務用米』を作り、需要とマッチング(適合)させることが安定生産につながる」などと述べ、生産者の声より、中外食業界や大手量販店などの要求が大事だという、安倍「官邸」農政推進者の立場を明確にしました。
今年産米から、米の直接支払交付金7500円が廃止になり、生産量が減少した2017年産米の価格上昇もあり、少なくない産地が備蓄米や飼料用米から主食用米へシフト。昨年度はミニマムアクセス米の加工原材料用途への販売増、SBS輸入米の全量落札、今年産米の「豊作傾向」など、18年産米の需給緩和、価格下落につながる要因が顕著になっています。
参加者はさらに、「米需給の変化にそって、市場からの備蓄米買い入れやSBS輸入米の縮小など、国が需給をコントロールし、米の価格と需給に責任を持つ『米政策』への転換と戸別所得補償の復活が、安心して米づくりを続けるために必要だ」と強く要求しました。
戸別所得補償の復活真に家族農業の10年を
廃止された主要農作物種子法について、都道府県が引き続き主要種子を開発し、廉価で農家に普及できるよう万全な予算確保と施策の実施を求めました。
農水省は、根拠法がなくなることによる予算の削減、指定ほ場の減少など都道府県の取り組みへの影響を一切調査せず、主要食料に対する責任を放棄する姿勢に終始しました。
2019年からの国連「家族農業の10年」について、農水省は、「家族農業が果たしている役割は重要。日本の農家はほぼ家族農業」だということは認めたものの、その実施計画や予算化については、一切明らかにしませんでした。参加者は「今の農政は、『家族農業の10年』の考え方に沿ったものとはいえない。推進本部の設置など、農水省あげてのキャンペーンを実施せよ」と求めました。
(新聞「農民」2018.8.6付)
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