農家の税金対策
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青色申告について
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源泉徴収をはじめるとき
給与を支払う事務所等を開設したときは、「給与支払事務所等の開設届出書」を開設から1カ月以内に提出します。提出すると、源泉徴収に必要な書類があらかじめ送られてくるようになります。「個人事業の開業届出書」を出していれば、この届け出は不要です。
源泉徴収する金額は扶養親族等の数によって違いますが、扶養親族等がない場合、月8万8000円以上支払うと、届け出を出していなくても源泉徴収はしなければなりません。給与を受け取った人が確定申告して納付すればすみますが、納付するべき所得税があるのに納めていなければ、雇い主が納付する義務を負います。
源泉所得税の納期の特例
源泉徴収した所得税は、原則として、給与などを支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。しかし、毎月納めるのは大変なので、従業員10人未満の場合、半年分まとめて納めることができる特例があります。
この特例を受けると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。
この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することが必要です。この申請書を提出した月の翌月末日までに却下の通知がない場合には、承認があったものとみなされ、承認された月の源泉所得税から特例の対象になります。
農業申告者が専従者の扶養になることも
天候不順などで農業収入が激減して、専従者給与を差し引いたあとの所得が赤字になったとき、農業の申告主が専従者の扶養になるということもありえます。
ただし、毎年赤字になるようでは、専従者給与額の相当性が問われます。節税の観点からも、平均的な農業所得(専従者給与控除前)を専従者の数+1で割った金額を給与額の一つの目安にしましょう。
純損失の繰り越しと繰り戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない金額(純損失)が生じたときには、その損失額を翌年以後最長3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰り越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
損失申告の際は、確定申告書の第4表を添付します。
(税金対策部)
(新聞「農民」2018.7.30付)
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