農家が得する
税金コーナー
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「住民税非課税」で
思わぬメリット
住民税が非課税になったことで、思いがけない負担軽減になったことがありました。
息子さんの源泉徴収票がポロリ
畜産農家のAさんは、農業所得が赤字の確定申告書を書き上げて帰ろうと立ち上がったところで、1枚の紙を落としました。拾い上げると、それは息子さんの源泉徴収票でした。決して多くはない給与所得でしたが、所得控除がほとんどないので、1万5千円ほどの所得税が源泉徴収されていました。
Aさんは申告書に4人もの扶養控除を記入していましたが、所得がないので扶養控除が余っていました。「扶養を付け替えれば、この税金は戻りますよ」と話しましたが、「いいよ、これくらいは」との返事。「息子さんも同じ世帯ですよね」「そうですよ」「施設に入っているお母さんは別世帯ですか?」「いや、同じ世帯だな」「もし、息子さんを含めて、世帯全員が住民税非課税になれば、お母さんの施設利用料がすごく安くなると思いますよ」と言うと、「本当ですか?それじゃあ、書き直すか」といったやりとりで、申告書を書き直すことになりました。
扶養を全部付け替えて
早速、『税金対策の手びき』の49ページを開いて、均等割非課税限度額の早見表を見ました。Aさんの住所地は3級地なので、息子さんの給与所得だと、扶養親族4人と本人の5人で申告すれば、住民税非課税になることが分かりました。Aさんの申告書から扶養控除をすべてなくして書き直し、息子さんの申告書に4人の扶養控除を記入して還付請求しました。
後日、お母さんの世帯については、すでに世帯分離してあって安い利用料になっていたことが分かり、その点でのメリットはありませんでしたが、Aさんは、息子さんの源泉徴収税が還付されただけでなく、住民税(均等割)の5千円が還付されたことを喜んでいました。
「障害共済」掛け金が半額に
思いがけない負担軽減が分かったのは、その後でした。もう一人の息子さんが障害者なので、Aさんは心身障害者扶養共済(障害者の保護者が亡くなった時などに、障害者に年金を生涯支給する制度)に加入していたのですが、その掛け金が、住民税非課税世帯になったことで、毎月1万3800円から6900円に半減したというのです。1年間で8万2800円の軽減です。「びっくりしました。申告書を書き直して本当によかった」と、Aさんは声を弾ませて話してくださいました。
(税金対策部)
(新聞「農民」2018.6.25付)
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