「農民」記事データベース20180611-1314-08

農家の税金対策
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土地・建物等の譲渡所得

 土地・建物等の譲渡や株式等の譲渡については、特別の税率が適用されるため、一般の所得(総合課税の所得)とは区別して、分離課税の譲渡所得として税額を計算します。確定申告書Bに第3表等を添付して申告します。

分離譲渡所得=
収入金額
−(取得費+譲渡費用)
−特例控除

 土地・建物等の譲渡の区分

 『税金対策の手びき』28ページにあるように、土地・建物等の譲渡所得の種類は、まず短期譲渡と長期譲渡に分かれます。分離譲渡の場合、取得の日から譲渡する年の1月1日までの期間が5年以下なら短期で、5年を超えるものは長期です。

 また、短期譲渡は「一般」と「軽減」に、長期譲渡は「一般」と「特定」と「軽課」に分かれます。

 分離短期譲渡のうち、国や地方公共団体に譲渡した土地等で、一定の要件に当てはまるものが「軽減」で、所得税の税率は15%です。それ以外の短期譲渡が「一般」で、税率30%です。

 分離長期譲渡のうち、居住用財産に当たる土地・建物等の譲渡が「軽課」で、所得6千万円までが税率10%で、それを超える部分は15%です。

 国や地方公共団体やそれに準じる法人に譲渡した土地・建物等で、「軽課」でないものが「特定」で、所得2千万円までが税率10%で、それを超える部分が15%です。

 「軽課」でも「特定」でもない長期譲渡が「一般」で、税率15%です。

 長期所有の場合、通常の取得費に替えて、その土地・建物等の譲渡収入の5%を概算経費として計上することができます。

 特例控除の例

 収用等による譲渡の場合は5千万円控除、居住用財産の譲渡の場合は3千万円控除、特定区画整理事業のための譲渡は2千万円控除、特定住宅地造成事業のための譲渡は1500万円控除、農地保有合理化等のための農地譲渡は800万円控除の特例があります。特例控除を適用する前の所得金額を限度として控除します。

 損益通算の特例

 土地・建物等の譲渡所得の損失については、原則として土地・建物等の譲渡による所得以外の所得との通算や翌年以降の繰り越しが認められませんが、居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失や、特定居住用財産の譲渡損失があった場合には、一定の要件のもとに、その他の所得との損益通算や繰越控除が認められます。

 その他の特例

 その他にも、収用等で代替資産を取得した場合、特定事業用資産の買い換えをした場合、保証債務履行のために譲渡した場合、債務処理計画に基づき贈与した場合などの特例があります。詳しくは税対部員にお尋ねください。
(税金対策部)

(新聞「農民」2018.6.11付)
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2018年6月

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