「農民」記事データベース20180528-1312-13

農家が得する
税金コーナー
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安易な譲渡は気をつけて
成果だけでなく、失敗からも学ぼう

 岡山県農民連会員のYさんが数年前の夜、電話をかけてきました。慌てた声で「譲渡税が100万円も来た」と言います。

 翌日、訪ねてみると、岡山市南区の小さな山の上で各種のブドウを生産している果樹農家で78歳のYさんは、長男に後を継いでもらうために、少しずつ資産を渡していこうと、ある司法書士に相談しました。

 その司法書士に「固定資産納税通知書の山林は、評価額が低く、税金がかからない」と言われたので、いっぺんに譲渡手続きをとってもらいました。確かに納税通知書の評価額は数千円程度でした。おかしいと思った私はその現地を見せてもらいに行きました。確かに小高い山ですが、よく見ると自動車が数台止まっていました。「あの車は何ですか」と聞くと、少し離れたところにある病院に駐車場として10坪ほど貸しているとのことでした。

 固定資産は3年ごとに評価の見直しが行われますが、現地に行って確認して評価するのではなく、机上で評価地の見直し率をかけて計算されています。しかし土地の移動(譲渡や相続など)があれば、現地の確認は必ず行われます。

 長男に譲渡したという届け出を出したときに、役場から現地確認を行い、現況が山林ではなく、駐車場になっていることを見て、評価の見直しが行われたに違いありません。司法書士が入っているなら、事情を話して「錯誤」(誤った届け出をした)だったと、元に戻してもらうよう助言しました。

 数日後、報告に来られました。「元に戻してもらって、譲渡はなくなり譲渡税の支払いもなくなった」と一安心されました。しかし、評価額は駐輪場としてかけられたため、固定資産税は10倍以上になってしまいました。「安易に土地を移動させてはいけません。遺産相続でどうしても長男にと思えば、遺言書という方法もあるよ」と話しました。

(岡山県農民連 坪井貞夫)

(新聞「農民」2018.5.28付)
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2018年5月

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