ふるさと
よもやま話
熊本県農民連会長
笹渕賢吾
熊本地震を乗り越えて
米の無農薬栽培計画中
熊本地震から2年が経過しましたが、将来への希望がみえない人は大勢います。農家は農業再建の負担が大きく、やめる人もいます。水田の補修も少しずつ進むなか、種まきの時期に入り、田植えの準備に忙しくしています。
来年の大河ドラマは熊本県から
私の住む和水(なごみ)町は、来年、NHKの大河ドラマ「いだてん」の主人公、金栗四三(かなくりしそう)氏の生誕の町です。金栗氏は、日本人で初めてオリンピックに出場し、マラソンの父といわれ、生家は私の隣の集落にあり、子どもの頃から話は聞かされてきました。
生家は空き家になっていたために、昨年、町が買い取り、整備することにしていた矢先に、ドラマ化が決定し、町や町民にとってビッグニュースになりました。
今回、大河ドラマとしては初めての昭和時代。2020年の東京オリンピックにあわせて、熊本地震の被災応援といったことも考えてのことかと思ったりもしています。
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金栗四三氏の生家(和水町) |
ジャンボタニシで除草したいが
私は今年、米の無農薬栽培を2ヘクタール計画しています。無農薬栽培の最初の難関は雨の多さです。雑草はジャンボタニシに食べさせますが、そのために水量の管理が必要です。ジャンボタニシが動けないように2週間ほど水を切って、その間に苗を食べられない固さにしますが、梅雨で雨が多いと、ジャンボタニシが動き回り、苗を食べてしまうために、補植しなければならず、天気次第で仕事量も増えたりします。
田植えは疎植にして、なるべく太陽が当たり、風通しをよくしています。秋ウンカの発生も毎年心配ですが、ここ数年の被害はあまりありません。
他に黒米と赤米を少しつくります。和水町の江田船山古墳は、明治6年に発掘され、国宝に指定されていますが、それにちなんだ形の古墳パンを若いパン屋さんがつくり、その材料にと黒米、赤米を提供しています。今人気急上昇中で、おいしいので、毎日売り切れています。
循環型の栽培に取り組む仲間も
農家の高齢化と後継者が少ないなかで、一部の人に規模拡大が進み、田畑や竹林の荒廃が進み、イノシシが大手を振って走り回っています。農業後継者は少なく、町外からの就農者は少しずつ増えてはいますが、食料自給率38%は、国民の食料を賄うには少なすぎます。農家を増やすためには、農産物の価格保障で農業所得を安定化させるしかありません。
城北農民組合の組合員のなかには、自然循環型栽培で無農薬栽培に取り組んでいる人もいて、町は生産者を中心に生産技術の普及と販路開拓を進めていく計画です。安全・安心の農産物と食料自給率の向上は、生産者と消費者の共通の願いです。
(新聞「農民」2018.5.21付)
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