「農民」記事データベース20180514-1310-08

千葉県の食と文化を
訪ねるバスツアー
内房編

千葉県食文化研究会
県自治体問題研究会
共催

 千葉県自治体問題研究所と千葉県食文化研究会共催のバスツアー「第4回千葉県の食と文化を訪ねる・内房篇」(3月24日)に参加しました。


上総海苔のルーツを訪ね
金谷漁港の海の幸に舌鼓

 小河川が多く国造の多い国

 1カ所目の木更津市郷土博物館は市内から見える太田山の山頂にある博物館で、街並みと海が見渡せます。7世紀はじめの「国造(こくぞう)」と言われる豪族の富と権力を示す金鈴や琥珀(こはく)の棗玉(なつめだま)、ガラス玉、金銅製冠、銅鏡、飾太刀などの品々が展示されています。

 特に太刀は最近、修復が行われ、その見事な装飾技術が改めて注目されています。関東の中でも千葉県は特に国造の多い国でした。これは小さな川が多く、弥生時代〜古墳時代の農業技術では、大きな川よりも利用しやすかったことなどが理由として考えられるそうです。

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木更津市郷土博物館を見学する参加者

 2カ所目の君津市漁業資料館では主に海苔(のり)の養殖と加工技術が展示されています。海苔商人だった近江屋甚兵衛が地元漁民の反対で断念しながらも千葉県で初めて海苔作りに成功し、「上総海苔」が生まれました。昭和30年代終わり頃から海が埋め立てられ、君津市は漁業から製鉄の街へと大きく変わっていきましたが、現在でも県産の海苔の8割が木更津、富津で生産されています。

 富津市にある5世紀中ごろに作られた、内裏塚古墳群を車窓から眺めながら、お楽しみの昼食会場へ。テレビ「鉄腕ダッシュ」でも紹介された「かじや旅館」ではタカアシガニやアカザエビなど珍しい食材を使った料理が並びます。食材はすべて、目の前の金谷漁港で揚がったもの。残念ながら「黄金アジ」はとれなかったということで、次回のお楽しみとします。

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とても大きなタカアシガニ

 上総掘り用具で各地に自噴井戸

 午後は鋸南町にある都市交流施設、道の駅「保田小学校」。廃校になった小学校の体育館が直売所、教室は宿泊施設、職員室がなんと、温泉へと丸ごと改装してあります。音楽室や家庭科室は時間で借りられ、イベントスペースもあります。学校施設の活用として今、注目のスポットです。

 最後は「名水の里・久留里」。「平成の名水百選」に県内で唯一選ばれた井戸水。明治中期、上総地方で開発された「上総掘り用具」により、各地に自噴井戸が掘られ、人々の生活になくてはならないものとして大切にされてきました。全く癖のない飲みやすい水でした。

(千葉県農民連 谷川聡子)

(新聞「農民」2018.5.14付)
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2018年5月

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