ドイツの環境団体招き院内集会
自由貿易協定は
民主主義の脅威に
日欧EPA
ドイツ最大の環境団体の一つ、BUND(ドイツ環境自然保護連盟、FoEドイツ)の代表者ら3氏が来日したのを機に、日欧EPA(経済連携協定)の現状に関連して意見を交換する院内集会が3月27日に開催されました。
ヨーロッパでは、日欧EPAや、TTIP(大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定)に、市民の強い反対運動が広がっていますが、消費者運動などと並んで運動の主要な担い手となっているのが、環境NGOです。
代表理事のフーベルト・ヴァイガーさんは、グローバリゼーションの課題として「気候変動の加速」「不平等の増大」「民主主義の危機」の3つを指摘。「日欧EPAやTTIPのような非関税障壁の撤廃を主眼とする新たな貿易協定は、多国籍企業の権力を増大させ、政治的な決定への市民参加を困難にし、民主主義の脅威となる。また環境基準や安全基準など本来、人々の暮らしを守るために必要とされてきた規制も、非関税障壁として緩和させることになる」と批判しました。
とくに「ドイツをはじめEUの共通政策にもなっている予防原則と、日欧EPAやTTIPの内容は相いれない。EUでは遺伝子組み換え作物の栽培も予防原則に基づいて禁止されており、環境基準や食品の安全性などが守られなくなる」と強い懸念を示しました。
リヒャルト・メルクナーさんは、日欧EPAでは現在のところ却下事項となっているISDS(投資家対国家の紛争解決)条項についても、市民から強い反対運動が起きていることを報告。また、EU委員会は日欧EPAの内容について1100ページの資料を公開していますが、「情報公開はまだまだ足りない。こうした貿易交渉では市民にはきわめて情報が閉ざされており、世界中で連帯して運動していくことが重要だ」と述べました。
(新聞「農民」2018.4.16付)
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