ふるさと
よもやま話
和歌山県農民連会長
井上雅夫
将来が描けて元気が出て
楽しく過ごせるように
私は、和歌山県の北に位置し、紀ノ川流域の中央にある紀の川市に住んでいます。東部には、世界遺産になっている霊場「高野山」「丹生都比売(にうつひめ)神社」など熊野古道関連の神社仏閣があり、西部には、根来忍者で有名な根来寺などもあります。
紀の川市は、2005年の平成の大合併で5つの町がまとまり、約6万8000人の人口になりました。旧那賀町には、全身麻酔による手術を成功させた医師、華岡青洲の生誕地があります。
また、私が住む旧粉河町には、西国三番札所の粉河寺が、旧貴志川町には全国でも有名になったネコの「タマ電車」が走っています。
紀ノ川農協
「地域づくり、担い手プロジェクト」
農業が盛んな紀の川市では…
とくに紀の川市は、「食育の町」宣言をしていることでも有名であり、農業が盛んな地域でもあります。
平核無柿(ひらたねなしがき)、キウイフルーツ、桃、イチジク、八朔(はっさく)、イチゴと、生産量が多いことでも知られています。JA紀ノ里と私も所属している紀ノ川農協をはじめ多くの出荷組合も存在しています。
「めっけもん広場」、「ふうの丘」など直売所等も多数あり、直売所めぐりをされている方もいるくらいです。スーパーマーケットでの「インショップ」販売も盛んです。
しかしながら、農作業従事者の高齢化が進み、全国と同様に中山間地での耕作放棄地、離農が増え、荒れ地が増加しているのが実情で、平たん地にも放棄地がちらほらみられるようになりました。「何とかしたい」、そんな気持ちです。
プロジェクトでレモンの定植を
そのような状況の下、紀ノ川農協の「地域づくり、担い手プロジェクト」の取り組みは注目されています。3月17日には、私も含め、近畿農政局2人、大阪いずみ市民生協の産直委員さん25人、新規就農希望の若者2人、インターンシップ(研修)の和歌山大学学生3人、紀ノ川農協の宇田篤弘組合長をはじめとする理事・職員、那賀農民組合長ら多数が参加して、レモンの定植作業を行う「レモン畑プロジェクト」が実施されました。
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「エイ、エイ、オー!」。「レモン畑プロジェクト」に参加したみなさん |
なぜレモンなのかと、宇田組合長に聞くと、「イノシシに食べられないだろう」とのこと。この後の栽培管理は、紀ノ川農協の独自指定「トレーニングファーム」として、就農希望者の体験訓練に利用すること等、将来的にいろんな果樹栽培を学んでいける場所になればいいと思いました。
生産者と消費者連携を強めたい
最後に、このプロジェクトの目的を聞くと、「過疎地域に住んでいる人や農業者にこのような活動を通じてあきらめない気持ちをもってもらい、将来が描けるような元気が出る取り組みになればいい。そして何より生産者と消費者の連携を強めることが大事」だと話していました。
この地に住んでいる人たちが元気で楽しく過ごせるようにすることが一番大切なことだと改めて思いました。
(新聞「農民」2018.4.2付)
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