TPP11の「署名」に抗議し、
国会批准阻止に全力をあげる
2018年3月9日
農民運動全国連合会事務局長 吉川利明
一、3月8日(日本時間9日未明)、チリのサンティアゴでTPP11の調印が行われた。
国内外の世論と運動で挫折したTPPを蘇らせることは断じて許されない。TPP11を主導した安倍政権に強く抗議し、撤回を要求する。
一、TPP11は第1条でTPP協定を組み込み、第2条でISDS(投資家対国家の紛争解決)や医薬品の特許、国有企業の一部など、22項目の凍結をうたっている。停止されるのは1000項目に及ぶTPP協定の2%に過ぎず、食の安全、医療、経済や暮らしなど、国民のあらゆる分野に影響をもたらすTPPの本質は何ら変わらない。
TPPは、国会決議で「除外又は再協議の対象にする」とした米・牛肉・乳製品などなどの重要5品目の3割もの関税を撤廃し、野菜や果物、林・水産物のほとんどの関税を撤廃するものである。
さらに、7年後に輸出国から要求されれば農産物関税の見直し等の協議に応じなければならず、史上最悪の農産物輸入自由化協定である。
さらに、TPPで合意した低関税輸入枠はアメリカを含む数量にも関わらず修正されなかったため、輸入枠を10カ国で捕り合うことになり、別枠でアメリカからの輸入も続くというダブルパンチとなる。セーフガード(緊急輸入制限)も修正されなかったため、発動不能になることは必至であり、TPP以上の悪影響を及ぼすことは避けられない。
トランプ米大統領は、TPPへの復帰をほのめかしているが、TPPを離脱したのも復帰するのもアメリカ第一のためであり、TPPであれ、2カ国FTA(自由貿易協定)であれ、TPP以上の譲歩を迫られることは目に見えている。
一、安倍政権は署名を受けて、3月中に協定承認案と関連法案を国会に提出するとしている。たたかいはこれからである。
安倍政権は、今国会の最重要法案である「働き方改革法案」をめぐって、データねつ造事件で「裁量労働制拡大」の削除を余儀なくされた。国政調査権を踏みにじる「森友文書改ざん疑惑」で政権発足以来の危機に直面している。
農民連は、安倍政権ノーのたたかいと結んで、TPP11の国会批准を阻止するために全力を尽くす決意である。
(新聞「農民」2018.3.19付)
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