「農民」記事データベース20180312-1302-12

旬の味


 「『死んだ』と名前を呼びながら座り込み、号泣したんだよ。この田んぼの中で、あんたのばあちゃん」。耕起を始めようとトラクターに乗り込んだ私に、近所の人が言った▼長男で一人息子だった叔父はビルマ方面で亡くなったと聞いている。その叔父について、祖母はほとんど語ることはなかったが、「あんなことはもうあったらいかん」が口ぐせだった▼3000万人署名で駅前に立ち、「大丈夫です」の一言と冷たい視線で通り過ぎる人の多さに落ち込みそうだった。「何も変わらないよ。なるようになるだけ。やめときなさい」と70代の女性。でも、その時々の行動が大切だったことは事実。「やめた」と言えば、すべてが終わりだ▼「すばらしい」と世界中の人が認める憲法9条。その国に住む私たちがやることは、改憲でなく、「世界中に9条を広げよう!」ではないだろうか。もうすぐ祖母の50回忌。祖母へのプレゼントは“署名を続ける私の姿”と信じ、最近、常備品となった署名用紙の入ったバッグを肩にかけた。

(え)

(新聞「農民」2018.3.12付)
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2018年3月

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