「農民」記事データベース20180305-1301-08

農家の税金対策
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専従者控除(給与)で
税額に大差

 事業所得の計算上、家族に支払った給与等は、本来は事業の必要経費になるべきですが、所得税法56条で「生計を一にする配偶者その他の親族」に対する支払いは「必要経費に算入しない」と規定されているために、原則として経費に算入できません。

 その代わりに、白色申告の事業者に対しては「専従者控除」、青色申告の事業者に対しては「専従者給与」の控除が認められています。

 農民連では、56条の撤廃を求めていますが、これが実現するまでは、専従者控除や専従者給与の制度を最大限活用して節税することが大切です。

 ちなみに、家族であっても、「生計が別」であれば、その支払い金額を全額経費に算入することができます。

 「事業専従者」とは、申告主と生計を一にする15歳以上の親族で、1年のうち6カ月以上その事業に専ら従事している人です。

 白色の「専従者控除」では、配偶者は86万円、その他の親族の場合は50万円を上限として、専従者控除を引く前の所得金額を、専従者の数+1で割った金額を控除することができます。(『税金対策の手引き』21ページ参照)

 青色の「専従者給与」では、「青色事業専従者給与に関する届出書」で税務署に届出した金額を上限として支払金額を控除することができます。青色申告の大きな特長の一つです。給与金額を引き上げる場合には、「変更届」を提出します。

 専従者控除や専従者給与を適用した場合は、同じ人に配偶者控除や扶養控除、障害者控除を適用することができませんので注意が必要です。

 専従者控除で37万円も節税に

 果樹専業農家のある会員は、妻と父母の3人を専従者控除に適用したところ、売上金額は変わらないのに、所得税・住民税・国保税で37万円も下がりました。(表)

 ただし、配偶者控除や扶養控除を適用することによって住民税が非課税になる場合には、医療費や介護施設利用料などに数十万円の差が生じることもあるため、よく検討する必要があります。詳しくは、『税金対策の手引き』52ページの事例を参照してください。

 人的控除をどう適用するかは、税金対策のうえでとても重要です。家族のなかで所得のある人が複数いる場合、どの申告書に誰をどう適用するか、よく検討しましょう。

(税金対策部)

(新聞「農民」2018.3.5付)
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2018年3月

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