全国沿岸漁民連絡協議会
千葉県沿岸小型漁船漁協
新春のつどい
小規模・家族漁業守り
沿岸漁村の維持発展を
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会と千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合共催による「新春のつどい」が、千葉県鴨川町で2月3日に開催され、JCFUの全国会員と千葉県の沿岸漁民ら80人が参加しました。
自治体や地元の経済人と協力し
特別講演に立った岩田勉和歌山県すさみ町長は、「自分も沿岸漁師であり、千葉同様カツオ漁が町を支えてきた。今、和歌山はカツオの不漁で漁民も地域も大変。今のカツオ不漁と沿岸漁業の大切さを全国に知ってもらうため、3月24、25の両日にすさみ町で全国カツオまつりサミットを開催する。また先人たちが作り上げた沿岸ひきなわカツオ漁(ケンケン漁)を次世代に伝えようと日本農業遺産に登録する活動も始めた。漁業の仕事、文化、地域を守ることこそ大切だ」と訴えました。
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特別講演に立つ岩田勉すさみ町長(左から3人目) |
続く講演で福田仁高知新聞記者は、「太平洋沿岸漁村はカツオで地域産業が成り立ってきたが、今はどこも厳しい。『カツオ資源の減少が顕著だ。大規模な熱帯まき網漁業の乱獲規制が必要だ』と言っていたのは、最初は今日の司会者の二平章さんだけだった。今、遅まきながらやっと国も言うようになった。高知県では経済人たちも『カツオ県民会議』を立ち上げ、情報発信、国際会議にも参加をはじめた。この動きを全国のものにして、沿岸・近海のカツオ釣り漁業を守ってほしい」と訴えました。
漁民の“生きる権利”要求して
続くリレートークでは、岩手漁民組合の瀧澤英喜副組合長、菅野修一漁業調整委員が「サケ裁判」問題を報告。「サケには多額の税金が投下されているのに岩手県ではサケ漁獲は定置網に独占され、経営に苦しむ小規模沿岸漁民には一切認められない。青森・宮城の両県では認めているのに、岩手県だけは昔の網元支配と同様だ。沿岸漁民の生きる権利を要求して裁判闘争をがんばっていく」と報告しました。
また、杉本武雄和歌山東漁協副組合長は、「町長も報告したとおり、カツオ不漁問題は深刻だ。さらに水産庁は沿岸漁民のクロマグロ漁獲を禁じておきながら、しっかりとした所得補償策を講じていない。これでは沿岸漁民はやっていけない」と報告。
千葉沿岸小型漁協の本吉政勝副組合長も、「水産庁のクロマグロ規制で浜は混乱している。船を壊した漁民も出た。一尾一尾釣る沿岸漁船と1回で100トンも巻けるまき網船が一緒の扱いでは、小規模沿岸漁民は1尾も漁獲できない。現場の実態を調べもせず、沿岸小型船だけに規制を押しつける水産庁はおかしい」と報告しました。
北海道の焼尻島から参加した高松幸彦漁業調整委員は、「クロマグロ減少は大臣許可漁業の企業まき網船の漁獲が原因。FAO(国連食糧農業機関)が言うように小規模漁業を規制からはずすか、規制するならしっかりとした所得補償対策を施策化すべきだ」と述べました。
経営体の94%は沿岸小規模漁業
まとめで二平章JCFU事務局長は、「日本漁業の94%の経営体は沿岸小規模漁業だ。この沿岸漁業を維持発展させることこそが地域を守る。千葉県のように自治体とも協力してぜひ小規模漁業・家族漁業を守っていこう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2018.2.26付)
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