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宮城
鈴木弥弘
精神的負担大きい税務調査
農民連で畜産農家を支援
会員の知り合いが農民連に相談
昨年11月下旬、宮城農民連に畜産農家から税務調査への対応について相談がありました。
税務署の調査官から「平成26年から28年までの過去3年分の確定申告について、所得の確認の調査をしたい」と電話があり、そのときは調査日の日程は決めず、後日連絡することにして、周りの仲間に相談。最終的に、その地域の農民連役員に相談し、県連に連絡をしたとのことでした。
そこで畜産農家本人と連絡をとり、事情を詳しく聞き、過去3年分の申告内容について見直しをしました。
3年分の申告を見直し調査臨む
この3年間の畜産農家をとりまく状況は、肥育牛生産にとって、素牛となる子牛の価格が著しく高騰していること、平成27年から借り入れをしながら増額を図っていること、そして過去2年分は、肥育牛を棚卸していないことが判明。税務調査のねらいがほぼ明らかになりました。
その後、3回の見直しを行いましたが、棚卸の頭数と金額が変動し、なかなか確定しませんでした。また、見直しのなかで公庫資金の借り入れ段階で、提出決算書が赤字ではダメだと言われ、経費である素畜導入費を減額して、あえて黒字の決算にしたことの説明を受けました。
こうして3年分、原則的な収入と経費の計上、そして棚卸額を明らかにして修正をし、税務調査を受けました。
税務署からは2人、農民連から2人で調査は始まりました。冒頭、税務署側は、調査官の守秘義務を理由にして立ち会いを拒否しましたが、予め用意していた隣の部屋に、私たちは待機し、何かわからないことがあれば聞きにくることにしました。
午前10時から昼食休憩をはさみ、午後4時まで調査が行われ、次回は、年が明けてから日程調整をすることにして終了しました。
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税務調査は「モーお断り」と牛たち |
調査まで食事ものどを通らず
調査を通じて、いくつかの課題も明らかになりました。肥育牛農家では、農協等で行っている預託牛制度の牛が3分の1ぐらい存在していて、それに伴う売り上げ、素畜費、預託金利等の計上の仕方を、農民連でこれまで統一した方式で行っている内容で税務署と合意しました。しかし、棚卸の金額と頭数については再度、見直しをすることになりました。
税務署からの調査の電話があってからの精神的な負担は大きいものがあり、農家の方は、第1回の調査まで食事ものどを通らず、4キロ体重が減ったと聞きました。
農家の方は、年末年始にかけて、牛の3年分、1頭1頭を拾い出し、棚卸をやりきった疲労で、肺炎のために緊急入院しました。税務署の調査官にその旨を伝え、退院して体力が回復してから、連絡を入れることにし、1月末に2回目の調査日程を調整しました。
見直しの過程で、数字が大きく二転三転しましたが、修正額の見通しがついて、本人は精神的に安定してきています。この件で、農民連の会員になったことは言うまでもありません。
(新聞「農民」2018.2.12付)
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