どう見る?
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「TPPプラスはノー」と声をあげる人たち=2017年7月10日、首相官邸前 |
農夫男 新聞が「変心か乱心か」「予測不能を地でいく男の面目躍如」と皮肉っているけど、不動産王得意のしたたかな「駆け引き」外交じゃないかと思う。
トランプ氏が1年前、「TPPは最悪の貿易協定だ。永久に離脱する」と宣言したことは覚えているよね。今度の発言は、選挙公約の「1丁目1番地」であるTPP離脱を守る姿勢を見せて「岩盤」支持層をつなぎとめ、TPPを含む多国間協定を排除しない姿勢を見せて大企業の要求にも配慮を示す、さらにアメリカ抜きで進められているTPP11にも口をはさむという思惑があると思う。
民子 本心はどこにあるの?
農夫男 トランプ大統領の貿易政策の眼目は貿易赤字の削減だ。「アメリカ第1主義」原理で主張を押し通し、交渉相手国の譲歩を引き出すための駆け引きと圧力を駆使するのがトランプ政治だ。
トランプ氏は単純に「TPPに戻る」と言っているわけじゃない。「アメリカ第1を貫くことができ、問題があれば簡単に破棄できる2国間協定が好ましい。TPP参加国とも2国間交渉をやる」と言い、TPPなどの「悪い」多国間協定は破棄して、アメリカに有利な新しい協定を結ぶと言っているんだ(表)。
民子 日米FTA(自由貿易協定)などの2国間協定と、アメリカにもっと有利な“修正TPP”の両方をねらっているの?
農夫男 そういうことだね。カナダ・メキシコ相手に進められているNAFTA(北米自由貿易協定)や米韓FTAの再交渉は行き詰まっている。「アメリカ第1主義」のゴリ押しが簡単に通るはずがないよね。2国間交渉も1つも始まっていない。
それで、少し目先を変えて、2国間交渉とTPP修正交渉をやろうという思惑だろうね。何を言い出すかわからない人物だから、今後も目が離せないね。
農夫男 国会で「歓迎したい。日米がTPP推進の牽引役となるよう意思疎通していきたい。同時に、TPP11の署名・批准を最優先で進める」と答弁している。安倍首相のことを「トランペット」(トランプのペット)と、二宮厚美さん(神戸大学名誉教授)が批判しているけど、安倍政権の姿勢は二重の意味で“飛んで火に入る夏の虫”だ。
民子 どういうこと?
農夫男 一つは、TPP12は日本が先走って批准したけど、トランプ大統領の離脱宣言で宙に浮いたままで、正式の協定になっていない。だけど、TPP12を取り込んだTPP11が仮に発効すれば、TPP12も国際的な認知を受けてしまい、トランプ大統領のTPP修正交渉に足がかりを与えてしまうことになりかねない。
二つ目に、トランプ発言によって、事情は大きく変わったんだ。アメリカが「元のTPP」に収まる可能性はない状況で、「元のTPP」の22項目だけを凍結したTPP11を批准・成立させることは無意味であるだけでなく有害なんだ。「アメリカが再交渉を要求する前にTPP11を整えてしまおう」という理屈は通用しない。16年12月の批准強行の誤りの繰り返しになる。
三つ目に、トランプ政権は「アメリカ第1主義」を一番押しつけやすい日本をねらっている。こんな「トランペット」ぶりだと、日米FTAがゴリ押しされる危険性が強いということを声を大にして言いたいね。
民子 たいへんじゃない。TPP11の署名・批准をするな、TPPの再交渉も日米FTAもとんでもないという運動を大きく発展させる時ね。
1月29日付(1296号)の新聞「農民」は、積雪による道路の通行止めや広域的な交通渋滞で、少なくない地域で輸送・配達が大幅に遅れました。読者のみなさん、発送作業に携わる都道府県連および単組のみなさんにご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。
農民連本部
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[2018年2月]
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