ふるさと
よもやま話
北海道農民連委員長 山川秀正
地球温暖化の影響か?
冬の畑作業が様変わり
昨年、北海道十勝地方は天候にも恵まれ、農畜産物の総売り上げが3388億円を超え、史上最高を更新しました。販売農家戸数は5400戸余りです。一昨年は、8月下旬から9月上旬に4つの台風があいつで上陸し、甚大な被害を受けました。その損害を取り戻せたかどうかは定かでありませんが、農家にとって豊作はありがたいものです。
発生が増えた野良芋・小豆
いま、北海道の大地は真白な雪に覆われています。半年稼いで、後の半年は寝て暮らすといわれていた北海道の畑作農業ですが、様変わりしてきています。私の住む北海道十勝地方は雪が少ないが寒さが厳しいことで有名でした。土壌凍結が1メートルを超えることも当たり前でした。
しかし、地球温暖化の影響のためか最低気温が氷点下20度を超えることが極めて少なくなりました。そこで発生が増えたのが「野良芋」や「野良小豆」です。農作業の機械化が進み、収穫ロスが増えたことも要因の一つです。
「野良芋」とは馬鈴薯(ばれいしょ、ジャガイモ)の収穫作業でこぼれ落ちた小さな芋が翌年に萌芽(発芽)し雑草化してしまうものです。収穫作業が終わった後、芋拾いをしている光景も珍しくありません。
翌年、「野良芋」が発生した圃(ほ)場では、抜き取り作業を行わないといけません。放っておくと雑草化して作物の生育を妨げたり、農作業の障害にもなります。さらに、実をつけると翌年に芽を出して「野良芋」がネズミ算式に増えてしまいます。
越冬芋の増加を防ぐ「雪割り」
この対策としての「雪割り」作業が行われています。「雪割り」とは雪が座布団として保温効果を発揮して越冬する芋が増えることを防ぐために行われる真冬の農作業です。トラクター等に作業機をつけ地表を出して土壌凍結の深度を進め、落ちた芋を凍結させて腐らせる目的で行われています。北海道の畑作は、輪作によって成り立っています。輪作によって、土壌菌や病害虫の密度を下げ、農薬の使用回数を減らすこともできています。
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「雪割り」は春からの農作業に欠かせません |
厳寒期でこそ価値ある作業
しかし、近年、ジャガイモシストセンチュウや小麦なまぐさ黒穂病、さらにテンサイシストセンチュウの発生も確認されています。小豆落葉病も含め輪作体系に水を差す恐れがある「野良芋」「野良小豆」等収穫時のロスによるまん延を防ぐ方策をとることも必要になってきています。
あと2カ月余りでどのぐらいの降雪量があるのかはわかりませんが、厳寒期に行ってこそ価値のある農作業です。
(新聞「農民」2018.2.5付)
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