所得補償と価格保障がなければ
生産続けられぬ
これからの米作りを考えるシンポ
新潟県農民連 in 三条市
戸別所得補償制度の復活など
行政への要求運動強めよう
平成30年からの政府による米生産目標数量配分と直接支払交付金10アール7500円の廃止を受けて、多くの農家が今後の営農に不安を抱いているなか、新潟県農民連は1月21日に「これからの米作りを考えるシンポジウム」を三条市で開催しました。
講演には新潟大学農学部の伊藤亮司氏を講師に迎え、「新潟米基本戦略の展開と課題」について学習。伊藤氏はこれまで政策が行われてきたなかでも市場米価が乱高下してきたことから、「所得補償と価格保障がなければ生産は続けられない」と述べました。
政府や県の生産方針について「新潟が業務用米(低価格米)を進めれば、他県産米の行き場が失われてしまう。多収穫品種で増収しても増えれば価格も下がるだけだ。30年問題とは競争により誰かがババ抜きのババ(過剰米)を引く結果になること」だと話しました。
シンポジウムでは、3氏がパネリストとして報告しました。
農民連ふるさとネットワークの湯川喜朗事務局長は「ガットウルグアイラウンド以来、米価が下がり続けており、市場丸投げの米政策は以前から始まっている」と指摘。「公的な需給コントロールなしでは米の生産・流通・食の安全も守れない。飼料用米や加工用米生産による需給調整効果はあり、地域での多様な米づくりと準産直米などでの信頼関係にもとづく販路の確保、戸別所得補償の復活や産地交付金の拡充、自治体の独自支援実施など、行政への要求運動を強めよう」と強調しました。
JAにいがた南蒲営農経済部の清水正弘さんは市場需要に応じたJAの米生産方向について、業務用米の生産を推進してコシヒカリは5割程度を目指していくことを述べ、低コスト化を図るための栽培技術や多収良食味米を普及させていくことを報告。
家族経営で25ヘクタールの米を生産している大桃伸之さん(三条市)は、「育苗ハウスの回転効率をあげるために4月は他農家の育苗を担い、自分の苗は5月に播種(はしゅ)、6月に田植えをすることで高温障害回避と良品質につながっている。所得も安定して営農が続けられている状況で、今後10年間は家族経営を継続し、育苗受託や遅植えなどで経費抑制・品質向上・収穫量増を目指していきたい」と述べ、その実践に参加者からの関心が寄せられていました。
(新聞「農民」2018.2.5付)
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