「農民」記事データベース20180129-1296-09

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北海道
大沢 稔


日欧EPA・TPP11…
どうなる北海道の農業

 アメリカ抜きTPPを継続

 昨年は、衆議院の解散・総選挙に続き、安倍政権が継続しました。国際情勢もアメリカのトランプ大統領の誕生と北朝鮮の相次ぐ核ミサイルの実験、そしてアメリカのTPP離脱とめまぐるしく動きました。しかし、安倍政権は、アメリカ抜きのTPPを継続しています。

 安倍政権は、農業改革と称して、農協改革、主要農作物種子法の廃止を決めました。種子法は、主要農作物の増産を目的に1952年に制定され、その地域にあった良質な作物を品種改良し、奨励品種として普及し、今に至っていました。

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コンバインで小麦の収穫中です(8月上旬、小清水町)

 TPP11の影響試算を北海道も

 特に北海道では、米、麦、大豆、馬鈴しょは主要作物で、農家も負担金を拠出して協力しています。年の暮れに、政府は、TPP11で1500億円、日欧EPA(経済連携協定)で1100億円の影響試算を出しました。北海道も政府試算をもとに出すもようです。

 こうして、オーストラリアからは牛・豚肉、ニュージーランドから乳製品、ヨーロッパからチーズ類、パスタ、菓子類の安い製品が入ると、生産者だけでなく製造業者も影響を受けます。

 北海道の主要産品である牛乳、小麦、ビート、馬鈴しょなどを生産する私たち農家の経営は成り立たなくなります。北海道の生産者は、安全で品質のよいもの、そしておいしい食料をつくることに日々努力しています。農民に大いに影響があるにもかかわらず、TPPも日欧EPAも交渉中の内容は明らかにされず、秘密主義が貫かれています。

 安倍農政に立ち向かう準備

 TPPなど自由貿易は、多国籍企業の貿易の円滑化のための関税撤廃、遺伝子組み換え作物の危険が科学的に証明されない限り安全であるという科学主義、投資家や多国籍企業の利益のために企業が相手国の政府を訴えるISD、知的財産権の最大限の保障、特許期間の長期化、公共事業の民営化などをより強固に進めます。

 安倍政権は、規制改革のための農協・農業委員会改革を強行しています。

 私たちは冬のこの時期に、学習会を旺盛に開いてよく討議し、安倍農政に立ち向かう準備をしたいと思います。

(新聞「農民」2018.1.29付)
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2018年1月

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