「農民」記事データベース20180101-1293-01

憲法・原発・くらしを争点に
市長選勝利に農民連が貢献
(福島・二本松)

市民と野党が共同すれば
首長を変えられる

福島県農民連会長
根本 敬(二本松市在住)


自らの政策要求の実現めざして

新年あけましておめでとうございます

 2018年は、市民と野党の共同を全国各地で広げ、19年の参議院選挙に向けて、安倍自公政権に痛打を与える年にすることが求められています。11月26日投開票の福島・二本松市長選挙で「みんなでつくる二本松市政の会(みんなの会)」(安達地方農民連加入)支援の三保恵一さん(68)=無所属、元=が自民党二本松総支部等の推す現職候補に勝ちました。この勝利は、市民と野党が共闘して首長を変える大きな一歩になりました。

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安達地方農民連の事務所で開かれた慰労会であいさつする三保市長=12月4日

 「みんなの会」に団体加入して

 一昨年の参議院選挙で野党統一の増子輝彦氏が現職法務大臣を破り、昨年10月の衆議院選挙福島1区でも野党統一候補の金子恵美さんが勝利したように「市民と野党の共闘が勝利の原則」が威力を発揮した結果でした。(12月10日の福島県農民連総会に増子輝彦氏と金子恵美さんが来賓としてあいさつしました)

 農協内の現職ののぼり撤去させ

 市長選挙をどうたたかうか。今年4月に「みんなの会」を立ち上げ、市内の各種団体との懇談・協議を重ね「7つの政策提言」をまとめました。この間、現職市長への申し入れ、三保候補陣営との協議を進めました。

 三保候補の陣営は、安達地方農民連の多くの役員・会員が重要なポストを担っており、選挙情勢を含め政策的「合意」をどう作るかを役員会で議論を重ねました。そして、みんなの会と三保候補が確認した5つの確認事項(注)の実現をめざして選挙戦をたたかうことを決定しました。

 選挙戦は、現職候補が自民党・業界団体を総動員し、激烈極まるものになりました。

 地元農協、農政刷新連盟は、現職を推薦し、農協の敷地には現職ののぼり旗が林立。「組合員に何の説明もないではないか」という声が噴出し、早速、農民連役員が農協の幹部に電話。翌朝、その旗が全部撤去されました。

 支援から必ず勝つの決意

 一方、三保候補は、まさに「草の根」の選挙。各地区の後援会組織が連日個人演説会を開催し、「みんなの会」も選挙終盤に「原発ゼロをめざす市政をめざす総決起集会」を開催しました。

 この集会で三保候補は、「原発事故を経験した市長として原発に依存しない社会をめざすことは責務だと考えている。エネルギーも自らの地域で作って自立することを目指したい。行政に関わる者は、憲法順守を宣誓して公務に当たっており、先の戦争の教訓が9条であり、憲法を生かした市政を実現したい」と決意を語りました。

 この決意表明が、「みんなの会」の単なる「支援」から「必ず勝つ」という、まさに総決起の契機になりました。参加した農民連のHさんは、こう語りました。

 「三保さんの娘さんがわたり病院(福島市、民医連加盟)で研修医として働いていたのは知らなかった。花束をもらって娘のことを語る三保さんが目を潤ませていた。その姿をみてがんばろうと思った」

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有権者と対話する三保候補

 後の人生誰かの役に立てれば…

 三保候補の連合後援会会長を務めた鴫原孫一さん(農民連役員)は、強調します。「福島交通を退職後、妻が農民連の税金、産直でがんばっていた。その姿を見て、おれも後の人生誰かの役に立つことをしなければと思った。選挙は、女性たちの力が大きい。今回の選挙でもだんなは現職だが、妻は三保だという流れがあった。これで勝てると思った」

 選挙の慰労会の席で鴫原さんの妻のクニ子さんが「うちの人が選挙で忙しくて、稲刈りができなかった。稲は、倒れてどうしようかと思っていた。その時、農民連の半沢宣孝君がコンバインで刈ってくれた。本当にうれしかった。涙が止まりませんでした」と語りました。

 会員の要求と公約の実現へ

 二本松市内の農民連会員数は農家戸数比で8%。市長選でも三保さん勝利に大きく貢献しました。

 安達地方農民連の佐藤佐市会長は、「三保候補の後援会会長として鴫原さんは、その重責を果たし、各地域で多くの会員が三保選対の幹部として、そして、個々の会員が支持拡大に奮闘しました。私たちはこの選挙を自らの要求実現と位置づけました。これは、今後大きな力になると思います。選挙で示された公約を三保市長と一緒に確実に実現する決意です」と次を見据えます。


(注)5つの確認事項

1.憲法を守り、市民の暮らしに生かす。

2.原発ゼロの社会をめざし、市民参加の再生可能エネルギーを推進する。

3.市民の暮らしと生業を応援する二本松市をめざす。

4.地方自治の精神に基づき、国、県にキッパリ発言し、市民の願いを実現する謙虚な市政運営を進める。

5.定期的な協議の場を設ける。

(新聞「農民」2018.1.1付)
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2018年1月

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