「農民」記事データベース20171218-1292-02

秋のグリーンウエーブに取り組んで
岩手

米の直接支払い廃止に不安
日米FTA交渉はやめて

県農民連事務局長
岡田現三


県内全市町村と農協を訪れ懇談

 いわて食・農ネット(いわて食・農・地域を守る県民運動ネットワーク)は11月13日〜24日、秋のグリーンウエーブ行動にとりくみました。グリーンウエーブは、食料自給率向上を中心に、食と農を守る共同を広げるために全国食健連が呼びかけている運動。いわて食・農ネットは「農業・農協改革反対・自給率向上」「戸別所得補償復活」「TPP・日欧EPA反対」「食の安全行政の充実」「災害復興に政府が責任を」の7項目を求める「政府への要請」を呼びかけながら、全県の市町村長と農協長を訪問しました。

 対話の中で真っ先に出る話題は今年の米の作柄です。あわせて来年からの米づくりについての不安が口々に語られました。岩手江刺農業協同組合の小川節男組合長は「米の直接支払い(戸別所得補償)が廃止されることに現場からは不安の声が上がっている。収入保険も加入状況によっては補償内容の見通しが心配」と語ります。平泉町の青木幸保町長は「所得補償の廃止は農家の経営に大きく影響する。農家の自助努力も必要だが、基礎的なところは国で行うべき」と力説しました。

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JA花巻で懇談

 飼料用米・後継者焦点・共通課題

 飼料用米も焦点の一つです。「麦・大豆など畑作物への転換はどうしても無理な区画もあり、転作には従来から苦労してきた。しかし飼料用米は水田として生かせるのがいい。国からの補助がそれなりにあるので、やっていけている」と、自治体・農協ともに力を入れています。一方で「国の支援が削られるのは心配」との声も対話の中で出されました。

 どこの地域にも共通する課題として「高齢化」があげられました。中には後継者対策で農協独自の技術研修をするマイスター制度を実施している農協もあります。また、国の制度よりもより幅広い年齢を対象にしたり、親元就農でも対象にしたりと、市町村独自の充実した後継者対策も聞くことができました。

 多くの地域で、独自の品種やブランドづくりがとりくまれていますが、背景には、輸入農産物との競争にさらされている危機感があります。また、「日欧EPA、TPP11、日米FTAなど、情報がまったくこない。今後のアメリカとの交渉がすべてTPPと同水準になるというのはひどい話だ」と、自治体幹部からは心配の声が出されました。また、ある農協幹部は「日米交渉はやめてほしい」と率直に語りました。

16市町村長と全農協長が
「政府への要請」に賛同

 一連の行動には農民連、労働組合、新日本婦人の会、いわて生協などから、延べ79人が参加。12月11日現在、33市町村中16の市町村長と、7農協すべての農協長から「政府への要請」に対する賛同がよせられています。

(新聞「農民」2017.12.18付)
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2017年12月

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