九州北部豪雨から5ヵ月農民連・齋藤敏之常任委員ら視察
7月5日の九州北部豪雨は、福岡県朝倉市を中心に甚大な被害をもたらしました。今も多くの農地が土砂に埋もれ、懸命の復旧作業が続く被災地を12月2、3の両日、農民連の齋藤敏之常任委員と視察しました。
遅れている復旧
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手入れのされた奥の柿畑は無事で山肌のみが崩れました |
復旧状況をみると、平地では、流木の片付けと家屋の泥だしは完了していましたが、用排水路にたまった泥だしは続いていました。ただ、ハウス内に入った土砂はとりきれず、そのまま耕し、特産のネギをまいたところでは、生育にムラが目立ちます。
朝倉市朝倉町入地地区の柳原一徳さんは「昭和28年の豪雨も同じくらい降った。その時は筑後川が氾濫(はんらん)し田畑が水没したが、水が引いた後、肥料分を残してくれた。しかし、今度の水害は、大量の流木と土砂のため、大きな被害だけが出た」と話します。
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被災地を視察する齋藤常任委員 |
この地域は、河川改修で川の流れを変え、相良さんの実家は、元の川の上に家を建てましたが、今度の豪雨で、下の写真のように川の流れが元に戻ったため、その家が流されたとのことです。
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水害前は右に向かって川が流れていた(黒矢印)。今は、水害前には家や田があった左側を流れている(白矢印) |
筑後川の支流、赤谷川沿いに住む理髪業の男性は「増水する川を家から見ていたら、背後の山から土砂がなだれ込んできて、あわてて逃げだした」「最近まで仮設住宅にいた」と話します。
電柱が、半分くらい土砂で埋まっているのが見えたので「この下に何があったのですか」と聞くと、「一面ネギのハウスだった」といいます。
ハウスのあった場所を埋め尽くす土砂を整地している重機を眺めながら「ここが農地に戻るのだろうか」と思いました。
2日には、みのう農民組合の上村庫史副組合長のほ場近くで、地元の社会福祉法人のみなさんや、九州産業大学付属高校の野球部員がスコップを持って懸命に水路の泥出しを行っていました。
「こうした支援活動は、被災した農家の営農意欲を救うことにつながっている」と、共同センターの横溝良久さんは話します。
被災したある花き農家の方は、ボランティアで泥だし作業をした公立高校の野球部員に、感激のあまり土下座して「もう農業をやめようかと思っていたが、みなさんから元気をもらいました」とお礼したところ、高校生たちは「自分たちがどれだけお役に立ったかわかりませんが、勉強をさせてもらいました」と答えたということです。現場に立ち合った共同センターの横溝良久さんは、「農家と高校生の互いの気持ちの交流に感動した」と語ります。
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高校生が水路の泥出しに大活躍 |
いまだ被災地は復興の途上です。一日も早く生活と営農が再開できるようきめ細かな行政の支援が求められます。
次号の12月25日付は休刊にします。 次週は2018年1月1日・8日付合併号(新年号)を1週間早くお届けし、年末年始にあたる次々週の配達はありませんのでご了承ください。 (新聞「農民」編集部)
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[2017年12月]
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