「農民」記事データベース20171211-1291-11

農家が得する
税金コーナー
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「期限後申告」で
100万円以上も還付

 確定申告を忘れたりして、申告期限をすぎてからする申告を「期限後申告」といいます。本来納付すべき税額があるのに期限を守らなかった場合は、ペナルティーとして無申告加算税がかかります。また、納付が遅くなればなるほど延滞税もかかりますので注意が必要です。

 無申告加算税がかからない「期限後申告」は、給与所得者の還付申告がわかりやすい例です。

 給与所得者は会社の年末調整で、本人が申請した扶養親族、生命保険料などで税額を計算し、源泉徴収されている所得税との過不足を調整しています。控除額に変更がなければ確定申告は不要です。

 給与所得者の事例

 Aさんの息子さんは、会社で年末調整していました。Aさん自身は所得が38万円以下で誰かの扶養になることができましたが、息子の扶養になれるとは思っていませんでした。

 Aさんの息子は、(1)父を扶養親族にして、(2)父の申告で控除していなかった国保税などの社会保険料控除もとり、(3)過去4年分の「期限後申告」をしました。結果は、4年分で所得税25万円余、市民税はその倍額が還付になりました。

 さらに息子の申告に父が扶養親族として増えたことにより、県市民税が均等割のみ(所得割非課税)になりました。申告書の控えを市役所へ提出して過去4年分の保育料が42万6千円の還付になりました。

 住民税申告のみの事例

 Bさんは毎年、控除額が多く所得税はかからないため、農業の申告は市町村での住民税のみを申告していました。しかし、「国保料が高い」と困っているので収支の見直しをしてもらいました。経費がいろいろ漏れており、国保料が7割軽減になるところまで所得が下がりました。

 Bさんは、毎年住民税のみの申告でしたから、税務署にたいしては無申告です。過去4年分の所得の見直しで、「期限後申告」をしました。税務署から市町村へ「期限後申告」の内容が連絡され、国保料が下がりました。さらに、勤め人の息子にBさんを扶養親族にして還付申告をしました。4年分で約15万円余りが戻りまし

た。

 扶養親族の条件深く理解すれば

 「息子夫婦は会社で年末調整をしているので、申告はもう終わった。親たちの農業申告とは関係ない」と思っている人がまだいます。別居していれば、なおさら別居家族を扶養親族にできない、医療費などの控除をとれないと誤解している人がいます。

 扶養親族の4条件、(1)合計所得金額38万円以下、(2)4親等以内の親族または6親等以内の姻族(配偶者の父母兄弟など)、(3)「生計が一であること」、(4)白色または青色の専従者でないこと――の理解を深めましょう。特に「生計が一であること」は、同居・別居とは関係がないことの正しい理解が必要です(『農家のための税金対策の手引き』35ページ参照)。

(新聞「農民」2017.12.11付)
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2017年12月

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