「農民」記事データベース20171204-1290-08

生産者が運営に大きな役割

農民連ふるさとネット
「生協産直」研修交流会


埼玉産直センターを
見学・研修・交流

 農民連ふるさとネットワークは11月16、17の両日、埼玉県深谷市で「埼玉産直センターの施設見学と『生協産直』研修交流会」を開催しました。8府県1団体から19人が参加しました。

 肥料センターをまず最初に見学

 まずは一番の要である肥料センターを見学。肥料センターは2014年2月に北関東を襲った大雪で倒壊。15年3月に生協や産直組織など多くのみなさんの支援を受けて再建がかないました。現在は年間約800トンの有機質肥料を生産し、すべて、産直センターの生産者に供給されています。部会ごとに少しずつ肥料の配合を変え、風に飛ばされにくいペレット状に加工。月5000袋を生産しているそうです。

 生産者の負担減らすためには

 見学後は代表理事の山口一郎さんが産直センターの沿革や、生協産直の現状と今後の課題について講演しました。

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埼玉産直センター代表の山口さん

 県内一の農業地帯の深谷市で、44年前に山口さんら5人で生協産直活動を始めたのがスタートでした。現在の生産者は216戸で耕作面積221・3ヘクタール。85%以上がセンターから車で20分以内に居住しており、センターに集まりやすい条件があります。

 組合員は品目ごとに契約し、全量を産直センターに出荷。生協や、一部は量販店などにも卸しています。生協の共同購入と店舗出荷の比率がほぼ半分ずつとなっており、過不足の調整にちょうどいい比率です。

 年2回(1、7月)取引先生協と職員、理事、部会長が一堂に会して「産直会議」を開き、半年間の総括と今後の販売計画を協議しています。

 出荷見込みの申告で全量出荷

 特徴的なのは生産者が運営に主体的な役割を果たしていることです。各部門の責任者となる理事はほとんどが生産者で、部会の役員と協力し作付け、作柄、出荷量の集約を行っています。出荷見込みを週ごとに生産者が自分で申告し、申告にもとづいて全量出荷しています。

 また生産者の負担を減らすために、出荷規格を簡素化し、コンテナ出荷にしています。調整、荷造り作業はパックセンターで引き受けています。袋詰めが追い付かずに破棄されることが減少し、生産量も増えました。

 受け入れ態勢を作り後継者対策

 山口さんは「生産者が良いものをつくれば、お金になるシステムとモノの流れをつくってきた」と話します。また地域を守るために、耕作放棄地も借りられるものは積極的に借りることを呼びかけており、農地が集まるようになりました。

 今後の課題は、後継者作りだと山口さんは言います。「大学のインターンシップも積極的に受け入れています。ここ数年は露地野菜を栽培する新規就農者も入ってきており、新規就農希望者の受け入れ態勢をどう作るかが課題です」

 質疑応答では、他の産地から、全量出荷のシステムや生産者理事の役割・関わり方、経費の精算方法、理事や部会長の手当まで、さまざまな質問事項が飛び出しました。

 2日目はパックセンターや加工センター、保冷庫などの各施設と、山口代表のほ場を見学し、充実した研修となりました。

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パックセンターではミニトマトのパック詰め中

(新聞「農民」2017.12.4付)
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2017年12月

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