「農民」記事データベース20171204-1290-06

農家が得する
税金コーナー
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「更正の請求」を有効に使おう

 税金の確定申告が終わったらあとで訂正できないと思っていませんか。納める税金が増える場合は「修正申告」、減る場合は「更正の請求」によって正しい額に訂正することができます。

 5年分の「更正の請求」が“満額回答”

 Aさんは税務調査を受けて過去5年分の修正申告をしました。その後、奥さんが「これからは私がきちんと申告しなくては」と農民組合に加入しました。

 Aさんには家族に病人がいて毎年多額の医療費負担がありましたが、過去の医療費の領収書がなくて医療費控除をとっていませんでした。医療費の領収書は再発行してもらえませんでしたが、医療機関から支払証明書を出してもらい、平成24、23、22、21年の過去4年分については「医療費控除」をつけて更正の請求、平成25年分は経費の見直しで更正の請求をしました。

 結果は、“満額回答”で、各年分それぞれ数万円から数十万円の税金が戻ってきました。

 更正の請求には、請求の理由となる「事実を証明する書類」の添付が必要です。この場合は4年分の医療費の支払証明書と、経費の見直しは減価償却費の追加部分だけでした。

「更正の請求書」は、当初申告(あるいは修正申告)と請求額(更正する額)を対比して記入するようになっています。経費のどこが増えたかわかり、それに対応する領収書などのコピーがあれば書類審査だけで再調査することはありません。

 「更正の請求」控えで支払い猶予が円滑に

 Bさんは、収支の見直しをしてもらったら、共同防除の農薬代、機械の減価償却費、雇い人費、福利厚生費などが漏れていました。漏れている部分の領収書類を添付して更正の請求をしました。7万8千円の所得税が全額還付され、さらに国保税(料)、住民税も還付されました。

 国保税(料)の支払い猶予や分割納付の申請をする場合は、「更正の請求書」の控えが役立ちます。更正の請求通り決定すれば、どのくらいの国保税(料)になるかわかりますので、市町村の国保収納課の窓口で支払い猶予や分割納付の申請が円滑にいきます。

 税額が下がらなくても国保税が下がる場合も

 更正の請求は、納めた税金が多かった場合に戻してもらう請求です。したがって、税務署は税額に変更がなく、戻すべき税金がない場合は、「更正の請求」になじまないといいます。税額に変更がなくても、収支計算を見直して合計所得金額が下がれば国保税(料)などが下がります。

 ある税務署は税額に変更のない「更正の請求書」の受け付けを渋りましたが、所得の減額更正によって国保税(料)が減額になることを話すと、税務署から市町村窓口へ連絡をして、市町村で減額しました。市町村の国保税(料)などは、申告納税方式ではなく賦課方式なのでこういうこともあります。

(新聞「農民」2017.12.4付)
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2017年12月

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