「農民」記事データベース20171127-1289-06

自然エネ100%社会めざそう

市民・地域共同発電所全国フォーラムin福島


 地域での自然エネルギー活用に向けて、全国の先進事例を共有し、交流しようと、11月2、3の両日、福島市で「市民・地域共同発電所全国フォーラム」が開催されました。

世界は再エネ拡大に大転換
日本は原発優遇、再エネ抑制

 1日目の全体会では、名古屋大学教授の高村ゆかりさん、会津電力株式会社代表取締役の佐藤彌右衛門さん、(株)元気アップつちゆ代表取締役の加藤勝一さんの3人が基調講演しました。

 高村さんは、再エネをめぐる世界情勢と再エネ普及に向けた政策的課題について報告。パリ協定(2020年以降の世界の気候変動に関する世界的枠組み)と、持続可能な発展目標(SDGs)が採択された2015年は、再エネが石炭火力発電の容量を史上初めて超えるなど「歴史的な年となった」と指摘し、世界が再エネ拡大に向けて大転換している様子を、多彩なデータを使ってダイナミックに描き出しました。

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各地の共同発電所の活動を発表・交流

 その上で、日本では再エネ電力の固定価格買取制度(FIT)の導入後、太陽光発電を中心に飛躍的な拡大が続いているものの、原発や石炭火力発電を「ベースロード電源」と称して優先するエネルギー政策のもとで、再エネ電力の送電線網への接続が制限されている現状を指摘。さらなる拡大に向けた課題を具体的に提示しました。

小規模バイオマス発電で
森林生かし農村の発展を

 2日目は午前と午後合わせて4つの分科会が開かれ、第2分科会では木質バイオマス発電・熱利用をテーマに、3つの先進事例が報告されました。コーディネーターを務めた和歌山大学客員教授の和田武さんは、「バイオマス発電は、日本の豊かな森林資源を生かすことができ、農山村地域の自立的発展にも極めて有効な再エネ」と述べ、熱利用や里山資源の持続的利用の観点から小規模の発電施設であることの大切さを強調しました。

 やまがたグリーンパワー(村山市)の鈴木崇之さんは、周囲の農家から出る果樹剪定(せんてい)枝や間伐材をチップにして、蒸し焼きにする小規模ガス化発電を報告。タールの発生が課題だったが、それも地道な研究で克服し、今ではタールもエコ燃料として販売するまでになっていると述べました。

“自分たちの電気は自分たちで”
太陽光発電が8メガワットに

福島県農民連

 「農村における再エネの可能性」をテーマにした第3分科会は、福島県農民連事務局長の佐々木健洋さんがコーディネーターを、(株)開成の遠山忠宏さん、飯館電力の近藤恵さん、福島県農民連会長の根本敬さんがパネリストを務めました。

 新潟県村上市で30ヘクタールの水田を耕作する農業法人の代表である遠山さんは、近くの温泉街から出る食品残さなどをメタン発酵させて発電し、熱は熱帯フルーツの温室栽培に、発酵液は液肥として稲作などに活用している事例を紹介。バイオマス発電の先駆けとして、全国の支援を続けたいと、熱い思いを語りました。

 根本さんは、原発事故を機に自分たちのエネルギー利用を見直すなかで、里山資源を生かした薪(まき)ボイラーの導入や、省エネ住宅への改修などに取り組むようになった経緯を紹介。また「自分たちの電気は自分たちで発電しよう」をモットーに、福島県農民連で設置した太陽光発電は8メガワットに達していることを報告しました。

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全国から集まった参加者で熱気あふれた全国フォーラム

 まとめの全体会では、フォーラム参加者の総意として「自然エネルギー100%社会をめざす福島からのアピール」を採択し、閉会しました。

(新聞「農民」2017.11.27付)
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2017年11月

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