京都有害鳥獣問題研究会
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箱わなで捕獲されたイノシシ(京丹後市) |
役員には、元農業総合研究所所長や京都府猟友会会長、京都府特定鳥獣保護管理計画策定委員長、大学教授や農業委員、行政マンなどが名を連ねています。京都農民連から私も顧問の一人として参加をしています。
これまで被害現場の視察、猟友会との懇談、行政への提言、対策の現地視察と研究、シンポジウムや学習会、地域づくりへの参加などに取り組んできました。
せっかくの「実りの秋」も獣害で台なしに |
講演の冒頭、「神戸ではイノシシが交差点で信号を守って横断する」と口火を切った祖田さんは、少年のころ農業の手伝いをしたこと、退職後に野菜作りを始めたが、鳥獣害に直面していると自己紹介されました。
祖田さんは、全国で深刻化する鳥獣害の実態とその背景には、高度経済成長と人口の都市集中、農林業・農山村の衰勢、薪・炭から石油・ガスへの燃料革命があることを指摘。北海道をはじめ、全国各地の対策を紹介しながら、中世以降の人間と動物の向き合い方の歴史にも触れ、お互いが共生できる「形成均衡の世界」への展望を語りました。
講演する京都有害鳥獣問題研究会 鈴木顯雄※1さん |
そのためには「人間も自然の一員であることを自覚し、欲望を管理して、農業と農村を基礎に地に足をつけた文明を形成していくこと」と訴えていたのが印象的でした。
この施設は、農作物への鳥獣被害が深刻化し、ジビエ(鳥獣肉の食材利用)としての活用も追いつかないほどに捕獲数が増加する一方で、狩猟者が高齢化し、捕獲個体を埋設する重労働が大きな課題となっていたことから、府内初の焼却専用施設として設置されたものです。施設は綾部、舞鶴の両市も共同利用しており、保管冷凍庫が3市の8カ所で稼働しています。
私の地域でも、水田は高さ2メートルのワイヤーメッシュ(金網)で囲い、山裾は数キロメートルにわたって10メートル幅で刈り払い、いたるところに箱わなを仕掛け、県境をまたいだ広域駆除を行って、何とか被害を食い止めているのが現状です。
わなの周囲を悠然と歩き回るハクビシン |
しかし、山は荒れ放題で、植林も放置されて獣のえさがなくなり、人が山に入らなくなった分、獣が人里に攻めてきています。熊、イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、ヌートリア、タヌキ、イタチ、カラス、ヒヨドリなど、それぞれに対策が必要です。
お互いが自然の形成者として、折り合いをつけて共存できる方策を見いだすことが求められています。
※【訂正】 12月11日号にて、以下の訂正がありました。
11月27日付「京都有害鳥獣問題研究会」の記事で、祖田修さんの写真は、同研究会事務局次長の鈴木顯雄さん※1の誤りでした。お詫びして訂正します。
2017年12月18日、訂正しました。
[2017年11月]
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