遺伝子組み換え大豆の自生調査
台湾行政院農業委員会が実施決める
農民連食品分析センターの運動
台湾政府を動かすきっかけに
2年間にわたる調査を行うと
台湾メディア上下游News&Marketによれば、台湾で、搾油工場などへつながる輸送道路にこぼれ落ちる遺伝子組み換え(GM)種子によって発生するGM作物の自生について、行政院農業委員会(中国の農林水産業に関する行政を担当する行政機関。日本の農林水産省に相当する)が2年間の調査を行うことを決めたそうです。農民連食品分析センターの調査データと運動が、台湾政府を動かすきっかけにつながりました。
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台湾で自生している大豆 |
分析センターが台湾で独自調査
台湾のGM作物自生問題は2015年、農民連食品分析センターが、独自に台湾で行ったGM大豆自生調査によって明らかになりました。もともと農民連食品分析センターは2005年から、市民グループや環境省、農水省と情報共有をしながら、日本国内でGMナタネの自生調査に取り組んできました。
食用油脂や家畜飼料の製造工場、ナタネの陸揚げ港周辺、その輸送路上に、GMナタネが自生する現象を10年以上調査研究してきた実績があります。15年に台湾を訪問した折、日本と同様の調査を現地で行ったところ、GM大豆が、道ばたに広く自生していることを発見しました。この調査データは、台湾の農民グループ有志や記者と共有、翻訳や現地記者による追加調査などの支援を受け、台湾メディアで報道されることになりました。
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台湾・台南市の搾油工場で拾った大豆 |
種子守る運動が台湾で高い関心
この報道によって、GM作物が自生することによる未知の可能性と種子を守る運動について、関心が高まり、今回の行政院農業委員会の決定につながっていったことになります。
台湾には(もちろん日本も)、GM作物を運搬する際のルールはありません。これは日本で言えば国内カルタヘナ法で承認が済んだGM作物は生物多様性に影響を及ぼさないことになり、運搬で特段、遺伝子組換えだからという点で配慮や義務が発生することはないという理由からです。
結論を出すのは官民調査後でも
しかし、私たちをはじめ、日本でGMナタネ自生調査に関わっているグループの多くは、まだまだ問題が潜んでいると考えられる結果をいくつか得ています。日本はナタネ(他家受粉)、台湾は大豆(基本、自家受粉)と、条件は異なるかもしれませんが、結論を出すのは、官民が手を取り、積極的な調査が行われてからでも遅くはないと考えています。
台湾において、GM作物の自生調査が始まり、データが得られ、公開、共有されていくことは大きな前進だといえます。この調査活動のスタートに、私たちの調査結果が基点として役立てたことは、本当に良かったと思います。
(農民連食品分析センター所長 八田純人)
(新聞「農民」2017.11.13付)
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