来年度の賠償方針示さぬ東電
早く素案を示し話し合いを
農民連本部・福島県農民連
東電・経産省と緊急交渉
福島県農民連と農民連本部は10月30日、東京都内で緊急の東電・経産省交渉を行いました。
東京電力は昨年末、農業分野の損害賠償で2017年度に2年分の賠償金を一括で支払う代わりに、17年で賠償を実質「打ち切る」という方針を提案。農協をはじめ多くの農業関係者の猛反対で撤回し、従来通りの賠償を認めざるをえませんでした。
そのような状況で迎えた今年、18年度の賠償方針について、団体賠償を行う福島県内の各農協には東電から素案が提示されているにもかかわらず、個別賠償を行う福島県農民連にはいまだに提案がありません。11月10日にも、県の農業の損害対策協議会での取りまとめを行うとの情報が入ったため、急きょ交渉が行われました。
冒頭に福島県連の根本敬会長は「言葉は悪いがわれわれを『そでにする』のか。東電は賠償の枠組みについて話し合いを進めていきたいと言ってきたのではなかったか。きちんと考え方を示したうえで話し合うのが筋ではないのか」と訴え、賠償案提示のスケジュールと農協に示した素案を示すことを求めました。
東電は、「団体賠償について、各農協には意見を聞いているだけ」「まだ案としてまとまったものはない」として開示を拒否。参加者は「賠償そのもののやり方は団体でも個別でも変わらないはずなのに、なぜ団体のみを優先してわれわれの意見を聞こうともしないのか。方針を勝手に決めて押し付けるのではないのか」と再び問いただしました。
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東電・経産省に訴える根本会長(左) |
東電の担当者は「決まってから方針を示すのは失礼にあたると思う」と返答し、賠償案の提示後に議論の時間を確保することは約束しましたが、具体的な日程については示すことができませんでした。
また、農協での説明で「『賠償の受け付けが東電の事務所でしか行わなくなる』という話が出たのは本当か」と問いただしたところ、「個別賠償では従来通りの受け付け方法で変化はない」と返答。「昨年末に提案したように2〜3倍の賠償金を払って打ち切りのような議論はあるのか」という質問にも「議論に上がっていない」と否定しました。
(新聞「農民」2017.11.13付)
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