「農民」記事データベース20171106-1286-18

「農事組合法人みんなで」

私たちの田んぼの
除草方法は…

奈良


チェーン除草→時期、タイミング大切
深水管理→生える環境つくらない

 「農事組合法人みんなで」の田んぼは、奈良県の東西を走る若草山と城山の裾野に広がる棚田にあります。上下に分かれ合わせて二反半ほど。6月には、奈良県の代表的な品種ひのひかりと餅米を田植えしました。

 今回ご紹介するのは、「みんなで」の田んぼの除草方法です。

 「みんなで」の田では育苗時以外に一切薬を使わずに育てています。収穫間近な現在も、重くしだれる稲穂と稲穂の間には何の雑草もなく、きれいな水だけがキラキラと垣間見えています。

 草対策がこんなにうまくいったのは、北和センター組合員で「みんなで」代表理事の寺川豊さん(大和郡山市)が行った「チェーン除草」と「深水(ふかみず)管理」の2つの対策です。除草の道具「チェーン除草機」の作製者も寺川さん。始めチェーンの間隔を15センチにしていましたが、隙間が大きく取りきれない草も出たために間隔を5センチに変更。ロープを田んぼの対岸から引っ張って、「チェーン除草機」をたぐりよせます。浮きの役割をしているのは、使われている塩ビパイプです。

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チェーン除草機を自由に操る寺川さん

 チェーン除草機を早く引っ張るのも大切。水中の泥がチェーンによくかき回され、雑草が抜けるからです。田植え後の3〜7日以内に1回目を行うことが大切とおっしゃる寺川さん。稲の苗は根を張って抜けませんが、雑草は抜けるタイミングだからです。2回目の除草は1回目の除草後の次週に行います。この2回のタイミングが重要とのことでした。

 もう一つの対策は「深水管理」。株の初期からたっぷりの深水で育て、株元を乾かさず草の生える環境をつくらない方法です。

 イノシシの被害見舞われて大変

 この2つの対策が功を奏して「みんなで」の田は、現在ほとんど草が生えていません。大和の山々から吹く涼しい秋風に穂もたくさん泳ぎ順調に育っています……と思いきや! 先日イノシシの被害に見舞われてしまいました。鹿の食害は昨年の大豆に引き続いて若干ありましたが、そこまで深刻ではなく安心していたところ…イノシシの場合は株が一面なぎ倒されたりして被害は甚大!一難去ってまた一難…おいしいお米の収穫への道はなかなか厳しいです。
(奈良・北和センター 森口いち代)

(新聞「農民」2017.11.6付)
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2017年11月

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