粗放的な農業まかり通る
自給率38%は崖っぷち
富山県農民連会長
大橋国昭=富山市
〈手記〉
“草に負けた”と収穫時にあ然
「今年の米はでかいとあったけ」と10余人に問うてみた。ひとりはまあまあと答えたが、ほとんどの人は「少なかった」と回答。様々な理由はあるが、ほとんど同様に「草に負けた」と言う。
近年ヒエは機械作業のなかで処理されるため、毎年その種が田に加算されていく。除草剤を多投するも効なさず、収穫時になってあ然とする。
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農作業に精を出す大橋さん |
委託社がまずく 穂が田に残った
私は生産意欲の減退がそのもとにあると思う。放棄田も増えた。会社企業の大型化で手が行き届かない。家族経営者にとっては低米価でじわじわと苦しめられ田の管理がおろそかになっている。
ある老母は“女をバカにしている”と刈り取った後の田に私を案内した。脱穀機の中に入っていない穂が目につく。私の抗議に対し、会社の責任者は「機械の足が速すぎた」と頭を下げた。しかしコンバインが田を回ればよいという姿勢は家族農業にそぐわない。
政府の農政に先が心配になる
今後ますます粗放的な農業がまかり通り、45%の目標が38%。先進国でも極端に低い自給率では先が思いやられる。
マスコミも黙認している。
(新聞「農民」2017.11.6付)
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