九州北部豪雨
被災のネギ農家を訪ねて
福岡・若宮農民組合 藤嶋嘉子
土砂の撤去してほしい
これからが不安大きい
何も手が付けられぬ
今年7月の九州北部豪雨災害の被災地、福岡県朝倉市志波地区の農家を、10月23日、市民団体などで運営する共同ボランティアセンター(福岡県農民センターも加盟)の大島慶太さんと訪問し、要望の聞き取りを行いました。
融資返済したばかり
あるネギ農家は、「どうすれば良いかわからない…」「先のことが考えられない…」と、案ずる通りのお答えでした。
万能ネギを栽培する高さ3〜4メートルのビニールハウス11棟は土砂に埋没したまま。ネギの集荷場も全壊。実家も、実家と庭続きにある倉庫も土砂で全壊し、実家から母親を引き取っています。倉庫に設置していた、「約1000万円近くもして、スーパーL資金融資の返済がやっと終わったばかりだった」というネギの皮むき洗浄機も全壊しました。
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共同ボランティアセンターの人たちが泥出し作業 |
借りて営農つなぐ
現在は、災害にあわなかった地域にあるハウス39棟でネギ栽培を続けており、同じく被災し、廃業を決めた知り合いから、集荷施設とネギ皮むき洗浄機を借りて、営農をつないでいるそうです。
そのネギ農家は、一番に要望することとして土砂の撤去をあげ、「土砂の流出による二次災害の不安が大きい。土砂を取り除かないと何も手が付けられないし、どうすることもできない」と言います。
今後の復興を朝倉市に相談しているが市からの回答はなく、「自分たちでやってくれ」という態度だそうです。
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私が立っている所は5棟のネギハウスがあったが丸ごと埋もれ屋根すら見えない |
土地を借りてまでは
「ハウスを建て直したいが、元の場所はまた水没するかと思うと建てられない。違う場所でも良いと聞いたが、土地を借りてまで建て直すかわからない。まったく何をどうして良いのかわからない…」と、苦悩を話してくれました。
営農への不安も感じましたが、復興の計画が知らされない事への不安を大きく感じました。
(新聞「農民」2017.11.6付)
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