「農民」記事データベース20171106-1286-05

台風21号被害

複数府県にまたがり甚大


奈良 土砂崩れで園地が大打撃

 10月22、23日に日本列島を縦断した台風21号の被害が各地で発生しています。近畿地方では複数の府県にまたがり被害が発生しています。

 奈良県全域で土砂災害発生

 奈良県の南和センター役員、稲田博子さん(五條市)の家では、家の裏手が数百メートルにわたって崩れ、納屋のほか柿やゆずなどの果樹園地が崩壊しました。道の復旧作業が続いていますが、園地の復旧のめどは立っていません。ほかにも県内全域でハウスが冠水、田んぼのノリ面が崩れる、農地が増水によりえぐられるなどの被害が出ています。

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崩落した場所を見つめる稲田さん

 奈良県農民連の水井康介事務局長は「新しい被害が次々と寄せられて、まだ全容はつかめていません。柿の収穫に追われ、対応が後回しになっている農家もあります」と言います。

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奈良県五條市の保元山団地では果樹園の大規模な崩落が発生

 関西、四国でも各地で台風被害

 大阪府、京都府でもハウスの倒壊や畑の冠水などの被害が出ています。刈る時期の遅い酒米など、稲刈りが終わっていない農家からは、不安の声が上がっています。家屋や倉庫の被害もあり、修繕費用の負担が農家にかかる状況です。

 高知県では施設園芸のハウスが大きな被害を受け、定植したばかりのトマトやししとう、ナスなどに被害が出ています。

葉物などに大規模な塩害 千葉

 今季の秋冬野菜一夜で暗転…

 関東でも被害が広がっています。埼玉県では入間市の組合員のネギ畑が倒伏する被害を受けました。深谷市周辺ではブロッコリーが台風を含む長雨の被害を受けています。

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塩害を受け、黒く変色したダイコン(千葉県旭市)

 千葉県では葉物や大根に大規模な塩害が発生しています。房総食料センターの小島鉄雄さんは「旭市の生産者が『こんなひどい塩害は初めて』と言っていました。葉物や大根が大きな被害を受け全滅に近いです。12月以降の大根は、相当な影響が出そうです」と話しています。「畑では、葉がちぎれたり黒く変色したキャベツや大根が痛々しく広がっていました。今から種をまき直しても、収穫時期は大幅に遅れてしまいます。『大豊作』だった今年の秋冬野菜は一夜で暗転してしまいました」


農民連本部 状況把握へ

 農民連本部は、都道府県農民連や関係自治体と協力し、引き続き被害の把握に努めます。「農民の苦悩あるところに農民連あり」の精神を発揮して、被災農家の支援に奮闘しましょう。

(新聞「農民」2017.11.6付)
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2017年11月

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