「農民」記事データベース20171106-1286-03

低下する食料自給率の向上を
地産地消の学校給食へ支援を

関連/ますます厳しい農業女性の労働


母親大会実行委が各省要請

農水省交渉 農民連女性部

 今年8月に岩手県で開かれた第63回日本母親大会の決議に盛り込まれた母親・女性たちの要求を、政治・行政に反映させようと、同大会実行委員会では、各省庁に要請行動を行っています。10月26日には農水省への要請が行われ、農民連女性部役員など13人が参加しました。

 要請では、食料自給率の低下に歯止めをかけること、TPP11などの交渉をやめること、異常気象による災害対策や被災地の救済対策の拡充など7項目を要求しました。

 食料自給率の低下の原因を、「輸入依存度が高い畜産物や油脂類、小麦製品などの消費量が増加したから」と説明する農水省に対し、「日本でも作れる作物も輸入を増やしている。もっと地産地消の推進や、小規模家族農業への支援を強めて、自給率を向上させてほしい」「TPP11などで農産物を輸入開放するのは、自給率向上と相反する」などの声が起こりました。

 全教(全日本教職員組合)の参加者は、格差と貧困が広がり、学校給食や食育が子どもたちにとってますます重要になっている現状を語り、地産地消の学校給食への支援を求めるとともに、「食料生産の過程を実際に見ることのできる農業が日本にあることは、教育にもとても重要。日本の家族農業を守ってほしい」と訴えました。

 また、福岡県の参加者は、九州北部豪雨で被害を受けた農家の実態について、「ハウスの骨組みも埋まってしまうほどの土砂がそのままで、現場では営農再開以前の問題が山積みになっている。まず被災状況をよく調べて、実態に合った支援をしてほしい」と、写真を示しながら訴えました。

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被災地の写真を見せながら力説する福岡県の藤嶋嘉子さん


ますます厳しい農業女性の労働

第62回はたらく女性の中央集会開催

 第62回はたらく女性の中央集会が10月14、15の両日、東京都内で開催され、全国からのべ850人の女性が集いました。

 1日目の全体会は、新日本婦人の会中央支部の「エーデルワイス」と、東京医療労働組合連合会の「チーム美魔女」が、築地問題や働き方を歌とダンスで訴えたオープニングプログラムで開幕。

 精神科医の香山リカさんが記念講演し、家族の役割をことさらに強調する自民党憲法改正草案にも触れながら、「女性に型にハマった役割を求める社会の圧力にめげないで、自分らしく生きよう」と呼びかけました。たたかいの交流には農民連女性部も登壇し、「家族農業を守りましょう」と力強く訴えました。

 2日目は6つの分科会と2つの見学分科会が行われ、「女性の人権と尊厳について考える」の分科会では、ジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子さんを助言者に迎えて、ディスカッションが行われました。

 竹信さんは、働く女性の6割近くが非正規雇用で、その賃金は男性正社員の半分など女性の置かれた苦境を列挙し、その背景には、家事労働を蔑視・排除することで、女性の貧困と労働者の過労死を生み出す社会構造による嫌がらせ――「家事労働ハラスメント」があると指摘。安倍政権が掲げる「働き方改革」や、自営業・農業女性の労働などの問題点も掘り下げて話しました。

 討論では、農民連女性部役員で千葉県の養豚農家の山崎正子さんが、昨年、農民連女性部が実施した農村女性アンケートの結果を紹介し、農業の厳しい現状や女性の家族労働を認めない所得税法56条の問題などを報告しました。

(新聞「農民」2017.11.6付)
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2017年11月

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