「農民」記事データベース20171106-1286-02

総選挙の結果について

2017年10月24日
農民運動全国連合会事務局長・吉川利明


 一、10月22日に投開票された総選挙で、自民党は改選議席の284議席を維持し、公明党とあわせて3分の2を超える議席を確保した。小池百合子氏率いる希望の党は、憲法改正・安保法制(戦争法)容認の自民党の補完勢力である本質が国民に見抜かれ、57議席から50議席へと後退した。

 一方で、市民連合と7項目の政策合意を結んだ共産、立憲民主、社民の3党が、市民と野党の本気の共闘でたたかった小選挙区では、野党統一候補が自公連合に競り勝ち、議席を伸ばした。

 とりわけ立憲民主党が公示前15議席から55議席へと躍進し、野党第一党になったことは今後のたたかいにとっても重要な成果である。日本共産党は改選議席を後退させたことは残念だが、共闘勢力を一本化させるために全国67の小選挙区で予定候補をおろし、共闘勢力の議席増に大きく貢献した。

 一、安倍首相は23日の記者会見で「国民のみなさまから力強く背中を押していただいた」と発言したが、国民は安倍政権に「白紙委任」したわけではない。日本農業新聞モニター調査によると不支持(66・9%)が支持(32・6%)の倍以上を占めている。マスコミ各社のアンケートでも、選挙戦が進むにつれて安倍内閣の支持率は下落を続けた。

 また、TPPや安倍官邸農政を推進してきた西川公也元農水大臣や山本有二前大臣が小選挙区で落選したことは、安倍農政に対する農民の批判の現れである。にもかかわらず自民党が大勝したのは、大政党に有利な小選挙区制度によるものであると同時に、昨年の参議院選挙以来の野党共闘の枠組みを希望の党と民進党前原代表がぶち壊し、野党共闘への分断を持ち込んだ結果にほかならない。

 一、農民連は、一貫して市民と野党の共闘の前進を追求し、この選挙でもこの立場を貫いてたたかった。新聞「農民」紙面で総選挙特集を連打し、号外も作成してたたかいを呼びかけ、農政の争点を示し、会員や農民が政党選択するための情報を提供する努力を行ってきた。多くの地域で農家との対話が精力的に行われ、市民と野党の共闘勢力の前進に大きく貢献した。

 一、今後も安倍政権が継続し、憲法9条改憲、消費税増税、原発再稼働、安倍官邸農政の強行や日米FTAをはじめとする自由貿易協定の推進など、国民の要求に真っ向から対立する暴走がいっそう進められる危険がある。

 安倍政権の支持率は低下し、不安定な政権運営が強いられることは免れない。森友・加計疑惑の解明も終わっていない。トランプ大統領来日で、日米FTAへの圧力はさらに強まり、農民との矛盾は広がるだろう。

 農業と農村を守る運動はますます重要になっている。農民連は、市民と野党の共闘をさらに発展させ、安倍政権の暴走にストップをかけるために全力をあげるものである。

(新聞「農民」2017.11.6付)
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2017年11月

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