鶏卵の残留農薬調査を開始
EUの汚染鶏卵事件を受けて
7月、オランダ産の鶏卵や鶏肉から、殺虫剤のフィプロニルが検出され、出荷停止になる事件が起きました。幸い、中毒などが発生する濃度ではありませんでしたが、それでも検出された最大値1・2ppmに汚染された鶏卵は、体重10キログラムの子どもが一つ食べれば一日摂取許容量という、安全の目安になる数値を超えるものでした。 |
卵の残留農薬を調査 |
鶏舎には、ダニなどの害虫が発生します。野放しにしておくと、大量発生を招き、採卵率や肥育に影響を与えることがあります。これを防ぐため、薬剤を使用した薫蒸処理などが行われます。フィプロニルは、鶏舎での使用は認められていないものでしたが、駆除業者が「良く効く秘密の薬剤」を売り文句に掲げ、オランダ、ベルギーなどの養鶏場で違法使用したため、大規模な汚染事件へと発展してしまったようです。
また現在は、EUなど汚染事件のあった国からの鶏卵は、輸入時に全て検査をする対策を取ることになりました。輸入の鶏卵製品については、事件に巻き込まれた国々でも対策が進んだことも加え、ひとまずは安心と言えるでしょう。
そこで、8月から、農民連食品分析センターでは、市販の鶏卵について、新規導入した検査装置を活用し、フィプロニルを含む378成分の農薬について市場調査を実施しました。検査対象にしたのは分析センター周辺で購入することができた8商品です。その結果、378成分に該当する農薬が検出された商品はありませんでした。
今回調査できたのはわずか8製品のみですので、流通する鶏卵全てを反映するデータとしては心もとないものです。より多くの製品について検査を実施し、データを集めるための検査支援募金運動を開始しました。
この調査は、問題のある鶏卵や業者をあぶり出そうというものではありません。日本の鶏卵生産は厳しい経営環境の中でも、苦労を積み重ね生産していることを私たちは知っています。消費者の無用な不安を取り除いて鶏卵離れをなくし、これからも安全で安心な国産鶏卵を届け、食べられる、そんな未来につなげていくための、情報を増やすことを目的としています。
[2017年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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