農家が得する
税金コーナー
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農民連の「記帳ノート」で
税務調査もひと安心
記帳簿使ったら節税できて驚き
島根県の邑南農民センターのKさん夫妻は野菜農家。山間の条件不利地で米や年間10種類の野菜を市場や道の駅に出荷しています。
年間出荷額は、多いときには800万円にもなります。Kさんは農民連に加入して20年余り。なんでも座談会に参加し、記帳ノートのつけ方を勉強しました。記帳簿を使うと節税できてびっくり。それまで一度に払う税額が多く予定納税を勧められていました。経費の見方で税額が相当違うと実感していました。
きちんと記帳し税務署員を待つ
ところが、2004年に突然、税務署から「3年分の記帳簿資料を用意しなさい」と電話がありました。その日は「今日は都合が悪い」と断り、別の日を設定してもらい、すぐにセンターの役員に相談。改めて数年分の記帳ノートを見直し内容を頭に入れるとともに記載が不十分な点は補充しました。
税務署が来るというだけでお父さんは気が動転しオロオロ。
しかし、当日、税務署の職員は準備した3冊の記帳ノートや営農口座の通帳などの1年分を見ただけで、「きちんと記帳されていますね、荷造り運賃の処理は今後気を付けてください」とだけ言い、後は雑談して帰りました。Kさんは思い出すたびに「あのノートがなかったらどうなっていたことか」と語ります。
いざという時にノートは力発揮
パソコンの利用で収支計算も楽になりました。しかし、大事な点は領収書をどの勘定科目で処理し、家事分の按(あん)分はどんな理由で記帳したかなど摘要欄に取引内容をなるべく詳しく(どこで、誰が、何を、いつ、いくらで)メモすることです。
自治体が提供する無料の白色申告用収支内訳書作成ソフトの多くは勘定科目と金額さえ入力すれば収支内訳書がすぐ出来上がり便利ですが、摘要欄がないという落とし穴もあります。
農家の経営規模や形態に応じて使い勝手の良い農民連の記帳ノートはいざというときに力を発揮します。記帳の保存義務は7年。農業でがんばってきた証として、次代に引き継ぐ大切な財産です。
(島根県農民連 長谷川敏郎)
(新聞「農民」2017.10.9付)
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