「農民」記事データベース20171009-1282-04

除草剤グリホサート検査開始

新機器を活用
ぜひ利用を

農民連食品分析センター


 モンサントの除草剤

 9月から農民連食品分析センターでは、除草剤グリホサートの検査を開始しました。新たに導入した高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS)を利用した分析法です。

 グリホサートは、商品名ラウンドアップマックスロードなどの名称で販売されている除草剤の主成分です。1970年にアメリカのモンサント社が開発した非選択性除草剤で、さまざまな植物の除草に効果があります。農薬を扱う農協や専門店だけでなく、ホームセンターでも入手することができ、家庭園芸や道路、駐車場、公園の管理などでも使用されています。

 低毒性として販売

 グリホサートは、アミノ酸系除草剤に分類され、人体には低毒性の農薬として販売されてきました。しかし、2015年に、IARC(国際ガン研究機関)は、モノグラフ112において、発がんン性に関してグループ2A(おそらく人に発がん性あり)に分類しています。これを受けて、グリホサートの使用禁止を求める運動が海外では大きく広がりました。フランス政府は、22年にグリホサートの使用禁止を決定しています(代替除草剤の開発予算として5年で50億ユーロを確保する方針も)。

 日本は毒性評価なし

 一方、日本では、16年7月に内閣府食品安全委員会が、神経毒性、発がん性、繁殖能力に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められない、という評価を出しています。国際基準に合わせるよう、農作物や畜産物の基準緩和の計画が進められています。

 グリホサートの毒性評価は、現在も議論が続けられていますが、今後、日本でも、議論が高まっていくことが考えられます。新しい除草技術への取り組みや、残留農薬検査の実施が望まれます。

 GM作物の残留顕著

 一方、遺伝子組み換え作物では、グリホサートを散布しても枯れないように改変された品種が数多く開発され、私たちの食料や家畜用飼料として流通しています。

 このような遺伝子組み換え作物にはグリホサートの残留が顕著であると考えられています。早速、2009年に入手していたアメリカ産大豆を検査したところ、0・75ppm程度のグリホサートを検出しました。今後、積極的に調査を行って、その実態を探る計画です。

 グリホサートの残留農薬検査は、大豆などを中心としたものですが、それ以外の品目でも対応できます。定量下限値は0・1ppmです。詳細は電話でお問い合わせください。ご利用をお待ちしています。また調査活動への協力・支援もよろしくお願いいたします。

 問い合わせ先

 (一社)農民連食品分析センター TEL 03(5926)5131

(新聞「農民」2017.10.9付)
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2017年10月

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