福島県農民連が東電・国と交渉
東電 「原発は必要」と開き直り
農民連 東電に再稼働の資格なし
福島県農民連は8月8日、福島第一原発事故の被害と賠償について、東京電力本社と、農水省、経産省などの省庁と交渉を行いました。
交渉では、東電の川村隆新会長が原子力規制委員会との意見交換の場で、「原子力なしではこの後やっていけないことを示すのが大事」、「事故を起こした当事者が発電所をきちんと動かせたことが国民にわかれば、原子力にとって大きい」などと発言したことに抗議するとともに、発言を撤回し、謝罪することを東電に求めました。また、県民の総意となっている福島第二原発の廃炉を即時決断するよう、要求しました。
しかし東電・原子力センター所長の石田守也氏は、「わが国のエネルギー自給率は低く、国のエネルギー基本計画でも“安定供給や経済優位性などから原子力は必要”とされており、新会長の発言の撤回は必要ない。第二原発の廃炉は経営陣が判断することで、今後については未定だ」と回答。
参加者から、「第一原発の廃炉作業も見通せず、被害もますます深刻化しているのに賠償は打ち切ろうとしている。東電は事故の“後始末”もできないのに、再稼働は許されない。事故被害に苦しむ県民への思いがみじんも感じられない」と怒りの声が噴出しました。
また参加者からは、第一原発の廃炉作業の遅れや、未知の作業ゆえの困難さ、危険性が次々と追及されましたが、東電は「100パーセント安全というのも安全神話だ」などと開き直る一幕も。いまなお原発が危険な状態のなかで、住民には帰還を強制する国の復興政策や、口先では「福島復興への責任」を言いながら、それとはまったく矛盾する原発再稼働に向かって奔走する東電の姿勢に、強い批判の声があがりました。
被ばく対策は…
また交渉では、「実測による農地一筆ごとの汚染マップの作成」と、「農業者の被ばく対策」を求めました。農水省は、「農業者も、除染労働者の被ばく防止ガイドラインである『除染電離則(でんりそく)』を守ってほしい」と回答。すかさず、「一生涯、そこで暮らして、土を相手に働き続ける農民が、なぜ除染労働者と一緒なのか」という声が起こりました。
参加者は重ねて、「原発事故というこれまで想定もされなかった事態が実際に起こっているのだから、従来の法律にとらわれず、農民を被ばくから守る新たな法律や制度をつくってほしい。そのために農水省は農業者の立場に立って、尽力してほしい」と、訴えました。
交渉には、日本共産党衆院議員の岩渕友、高橋ちづ子、畠山和也の3氏と、同党参院議員の紙智子氏、民進党の増子輝彦参院議員の秘書が同席しました。
(新聞「農民」2017.8.28付)
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