農民連
専従者・役員研修会
歴史と役割学び
運動の力に
「農民連の歴史や他国との農業の比較などよい勉強になりました。同年代の他産地の方々とも交流し、多くの意見や取り組みを聞けて参考になりました。今回学んだことを生かし、農家の方の力となり、産地を盛り上げていきたい」(長崎県農民連・松藤雅人さん)――。農民連は8月3、4の両日、神奈川県湯河原町で専従者・役員研修会を開き、23府県1団体から81人が参加しました。
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報告に応えて拍手 |
農業にまじめに取り組む農民連
3日の全体会では笹渡義夫会長が開会あいさつを行い、安倍第3次改造内閣が発足したことを述べ、「安倍内閣を退陣に追い込むことが日本の農業と農民連の運動にとって極めて重要」と強調。今回の研修会の目的が、「こうした激動した情勢のもとで、農民連の歴史と役割を学びながら、今日的な政策と運動の方向を身につけ、今後のたたかいに生かすことにある」と語りました。
岡山大学大学院の小松泰信教授が「安倍政治徹底批判! 農業・農村の展望を探る!」のテーマで記念講演。
農村社会の基層領域に根ざす地域社会や伝統文化の重要性について詳しく述べるとともに、新たな農政のあり方として、生命の連鎖性という農学の使命から考えたとき、「超長期の視点、岩盤規制、成長よりも安定、改革よりも日々の改善・改良が大事だ」と語りました。
安倍政治を倒すためにも、野党の統一の農業政策が求められていると述べ、農民連に対しても、「新規就農者や高齢農業者を担い手として尊重し、つながりを構築してほしい。みなさんは農業に対して一生懸命にまじめに取り組んでいる方々です。もっと世の中にアピールしてほしいし、私も発信していきたい」と期待の言葉を述べました。
小松教授は、2日目の最後まで参加しました。
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記念講演を行う小松教授 |
要求に根ざした運動とたたかい
次に、基礎講座1「農民連の歴史と行動綱領について」のテーマで笹渡会長が講演。「農民連の結成は、アメリカの食糧戦略に対し、団結してたたかえなかった痛苦の反省があったからだ」と強調しました。
さらに、農民連の目的や性格などを規定した「行動綱領」について説明し、「農民の団結と国民諸階層との連帯、組織拡大にふみ出そう」と訴えました。
農政の変遷と組織建設も学ぶ
2日目は真嶋良孝副会長が農政の歴史と現局面について講義をしました。明治期の封建制度崩壊からスタートした農政の変遷を解説し、「戦後の農地解放は、戦前の小作争議のたたかいがもとにある」と指摘。家族農業を守る制度を骨抜きにする安倍農政を批判し、農業と工業の違いから、農産物の価格保障政策が必要であること、他国の農業政策も見ても価格保障が必要不可欠であることなどを説明しました。
続けて吉川利明事務局が要求運動と組織建設について講義をしました。吉川事務局長は「要求こそ運動の原点。会員の潜在的要求を引き出すためにも学習が大切。そのためには専従・役員の力量が求められる。現場に足を運ぶこと。そして相手の話を『聞く力』が大切になる」と語りかけました。
そして仲間作りでも「数を追求するのではなく、『この人に仲間になってもらいたい』など、生きた人間像が目標になるような運動を心がけましょう」と呼びかけました。
昼食休憩後に行われた分散討論では活発な討論が行われました。若手の分散会には北は福島から南は長崎まで、若手専従者16人と吉川事務局長が参加。自己紹介では、若者をいかに地域に呼び込むか、生産物の販路をどう確保するのかという課題が、共通のものとして浮かび上がりました。
和歌山・紀ノ川農協の婚活イベントなど地域づくりの取り組みや、奈良の直売所の経営を立て直した経験などをもとに、意見を交換し、大いに討論しました。
(新聞「農民」2017.8.28付)
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