米の先物取引は
キッパリ廃止を!
期限を迎える試験上場
農水省 本上場認可を推進
農民の怒り恐れる自民
8月7日に試験上場の期限を迎える米の先物取引。運営する大阪堂島商品取引所は7月に本上場の申請をしました。
同取引所は6年前に試験上場の認可を受けながら、まともな実績を残せず、2年前の試験上場再延長の際、「3度の再延長の例はない」とクギをさされていました。その後も取引は伸び悩みながら、本上場の申請をしたのは、農水省の「先物推進」の方針にあることは明らかです。一方、自民党は国民の激しい批判の中で農民・国民のさらなる反発を恐れてか、「本上場は認めず、試験上場の再々延長」の方針と伝えられています。
来年からの米政策の見直しで需給も価格も混乱が予想されるもとで、米を投機の対象にする先物取引は「本上場であれ、試験上場であれ」許されるものではありません。政府・農水省、与党の自民・公明の責任が厳しく問われています。
3度の試験に不合格明らか
米の先物取引は2011年8月、東京と大阪で2年間の試験上場が認可されました。しかし、取引の実績が低迷し、農水省は「十分な取引実績がない」として、13年、15年と2回にわたり試験上場延長の認可にとどめました。この間、東京の取引所が業績低迷で解散しています。最近取引が上向いたようにみえますが、新商品に取引単位の小さい「新潟コシ」を設け、これが取引の約半数を占めているのが実態です。
当業者(生産者や米業者等)の参加が少ないため、米業者や生産者向けにシンポジウムや説明会を開くなどして取り込みに躍起になってきました。
しかし、当業者の取引参加は19%程度で、投機家中心の取引の場であることに変わりはありません。生産者も業者も先物取引を求めてはいません。すでに試験上場に不合格なのは明らかです。
先物で作付け判断など許されない
安倍内閣は18年から米の需給と価格の安定に対する責任を完全に放棄しようとしていますが、こうした政策変更に同取引所は、勢いづき先物取引が“政府の米政策に合致している”“農家が自らの経営判断で米を生産する際の指標になる”“リスクヘッジに有効”などとして本上場の認可を主張しています。
一方、農水省も、「生産者、流通業者にとって先物取引は経営安定を図る上で一つのツールだ」などと理解を示し、ホームページ上で米先物取引のシーズンレポートを掲載して取引の結果などを詳細に紹介。さらに米の需給や価格動向を知らせる際に、政府の相対価格調査と肩を並べて大阪堂島商品取引所の価格動向を紹介し、市民権を与える便宜を図っています。
国民の主食の米を先物取引と連動するような危険な米政策を進めようとする政府・農水省の責任は重大です。
やるべきは需給と価格の安定
この怒りの声を総選挙で示そう
「農家に先物相場を見て米作りを判断させる」政策など断じて認められません。「先物取引に市場価格の形成をゆだねる」など論外です。
生産者も業者も真に求めているのは、リスクヘッジなど必要としない米の需給と価格の安定であり、安心して生産や事業に専念できることです。
政府・農水省がいまやるべきことは、「米の需給と価格の安定に責任を果たすこと」であり、2018年からの米政策の「見直し」を撤回すること、戸別所得補償を復活させること、そして先物取引をキッパリ廃止することです。
安倍・自民党政治に対する国民の怒りのなかで、いつあってもおかしくない総選挙。農民の怒りの一票で農政を大きく変えましょう。
(新聞「農民」2017.8.7付)
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