「農民」記事データベース20170724-1272-07

農家が得する
税金コーナー


夫の遺志を継いで
農民連で税金申告

 岡山県の山間部で農業をがんばっていた実さんも年には勝てず、農民連に入会して20年耕作請負していた田んぼも全て返し5反ばかりの自作地だけになり「長年お世話になりました」と退会されました。

 ところが次の税金申告前の学習会に実さんが顔を見せ、床に頭をすり付けて「もう二度とやめると言わないので、もう一度入会させてほしい」と言い、頭を上げないのでびっくりしました。

 所得税ゼロでも国保料は10倍に

 事情を聞くと、実さんは退会の年も申告だけはしておかなければと、役場の税務相談会場で申告したのでした。

 役場職員にも顔見知りがおり「実さんおいで。私が見てあげよう」と言うのでお願いしました。「税金はかからないよ」と言われ、安心して帰りました。

 ところが所得税はゼロでしたが、住民税・国保料がこれまでの10倍になったといいます。

 申告書の控えを見せてもらうと税額0で下から計算したようです。赤字のはずの合計所得金額が50万円を超えています。奥さんの扶養や保険料などを差し引くと0になっています。

 これでは所得税はゼロでも、国保税はかかってきます。

 こうして再び会員でがんばりました。でも病気でその3年後に亡くなられました。勉強会に顔を見せないので尋ねると、亡くなったと聞かされたのです。

心のつながりに感激

 奥さんだけでも会員になれる

 私は学習会終了後に実さん宅を訪ね「お焼香」をお願いしました。「奥さん一人暮らしで大変ですね。元気を出してくださいね」とあいさつし、帰りかけると「坪井さん、主人がなくなると農民連には寄せて(入れて)もらえないのですか?」と問われ、「奥さんだけでも会員ですよ」と答えると、「実は、主人がなくなる数日前に、私に税金だけは農民連に世話になれよと言ったんです」と聞かされました。私も驚きましたし、本当によかったと思いました。

 税金は、本人とともに家庭の隅々まで知ることになります。会員さんの安心感が大切です。農民連運動の心のつながりに私も感激しました。

(岡山県農民連 坪井貞夫)

(新聞「農民」2017.7.24付)
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2017年7月

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