17年遺伝子組み換えナタネ
自生調査報告会
自生調査を通して
種子守る運動の継続を
2017年の遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査報告会が7月8日、都内で開かれました。主催は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン。
今回のテーマは、「種(たね)は誰のものか」。主要農作物種子法(種子法)廃止を機に、GMナタネ調査から種子の問題を考えようというものです。
多国籍企業に供給任せては…
基調講演として、龍谷大学の西川芳昭教授が「主要農作物種子法廃止が農の営みに与える影響」について報告しました。「種子の問題は、農家への種子や品種の供給という機能だけでなく、何をつくるのか、何を食べるのかを決めるのは、自分たちの政府と国民・農家自身だという『食料主権』を踏まえた視点で考える必要がある」と指摘。「種子ビジネスを戦略的に展開する多国籍企業に種子の供給を任せて、国内の種子供給をないがしろにしてはならない」と訴えました。
さらに、生産者や消費者がやるべきこととして、「農業者としては、守りたい品種があれば、米麦改良協会やJAなどと協力したり、農家のネットワークを生かしたりして、その種子を採っていくこと。消費者は、食べものや農業に関心をもち、提携や産直の活動に参加すること。地域にあった品種を消費行動として選んでいくことが大事」だと述べました。
各団体からの1年間の報告
後半は、各団体が1年間各地で取り組んだGMナタネ自生調査の報告会。はじめに、キャンペーンの纐纈美千世さんから全国調査の集計結果の報告があり、全国37都道府県で取り組まれ、総検体数948。そのうち遺伝子組み換えだったものが56。除草剤ラウンドアップをまいても枯れないもの(RR)が13、除草剤バスタをまいても枯れないもの(LL)が43でした。
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各地の取り組みが紹介されたGMナタネの自生調査報告会 |
あいコープみやぎの高野恵美子さんは、宮城県内の港周辺や飼料工場付近などで採取し、なのはな生協の山城明美さんは、茨城県神栖市と群馬県邑楽郡の利根川河川敷で調査したことを報告しました。
生活クラブ生協からは、中野京子さん(愛知)が報告し、20都道府県で取り組み、簡易検査で25の遺伝子組み換え(RR5、LL20)が見つかり、東京都世田谷区や埼玉県三郷市でも検出されたと述べました。
コープ自然派ピュア大阪の増本智子さんは、9府県で行い、4検体(LL)が遺伝子組み換えだったことを紹介しました。
グリーンコープ共同体の鈴江信子さん(宮崎)は、14府県で取り組み、兵庫、岡山、福岡で合計27(RR8、LL19)の遺伝子組み換えが発見されたことを報告しました。
遺伝子組換え食品を考える中部の会の石川豊久さんは、4月2日に三重県鈴鹿、津両市で検査した結果、78件が遺伝子組み換え(RR23、LL55)だったと述べ、最近の傾向として、雑種(アブラナ科植物同士の交雑)とみられるものが多く発見され、抜き取り作業も継続が困難なことが報告されました。
市民の調査だと世界でも注目
最後に、キャンペーンの天笠啓祐代表が、「自生調査は市民の調査として世界でも注目されている。継続は力で引き続き、取り組んでいきましょう」と呼びかけ、あわせて、農民連食品分析センターでの検査の活用を訴えました。
(新聞「農民」2017.7.24付)
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