「農民」記事データベース20170717-1271-09

農家が得する
税金コーナー


農民連はすごい!
息子が孫と帰ってきた

 岡山市の実さんは市内北部の山間地で仲間数人でハウスキュウリを中心に生産し、暮らしを守ってきました。

 もう25年も前の話になりますが、この山奥にも税務調査の嵐がふきました。私たちはこのニュースを聞いて地域に入り、農家を訪ね8人の会員ができました。

 記帳簿のつけ方学び正直に申告

 その一人が実さんです。地域でさっそく学習会を開き、何が問題だったかを話し合いました。調査対象年度の申告は実際の売上金額の2割をはじめから差し引いて申告していました。税務署の調査指摘もそのことでした。「それは節税ではなくごまかしだ」と話し合い、記帳簿のつけ方や仕分けの学習を重ねました。

 実際に記帳してみると、山の中でもあり、ハウスの面積も少なく、大きな利益が出る状況ではありません。売り上げを削る必要もないのが実情でした。正直に申告でき「これで安心」とみんな喜びました。

 実さんは元警察官でした。私たちの統一申告では、集会とデモが行われます。実さんは週刊誌で顔を隠しながら歩いているので聞いてみると「知人の警察官がいる」と言いましたが、最後まで行進に参加しました。

 農業の赤字を息子で申告

 それから15年、実さんはハウスとシイタケ栽培をやめ、経営を縮小しました。たちまち農業収入は赤字になりました。

 そこで相談して横浜にいるという息子さんへの扶養の手続きを勧めましたが、「税務署は税金を取るところで、税金を返すなんてありえない」となかなか納得してくれませんでした。説得して息子の源泉を送付してもらい、還付請求すると、たくさんの還付金が息子さんの口座に振り込まれました。

 その年のお盆に、息子が嫁さんと2人の孫を連れ、たくさんのみやげ持参で実さんの家に帰ってきました。実さんは「農民連はすごい!出ていったままの息子を家に帰らせた」と大喜びしました。

(岡山県農民連 坪井貞夫)

(新聞「農民」2017.7.17付)
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2017年7月

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